ゴブリンにも話せるやつはいたとか居ないとか。
6日目の昼。丁度昼飯を食べようと、周辺の木々を切り(優香の仕事だ)、平地を作る。すると、切った木の奥に、明らかに人工的に作られた道が広がっていた。人工物=人が居る。この道を辿れば、人に会えるかもしれない。チームタクは昼食準備をやめて、その道を辿る事にした。事実、そこまで腹も減っていなかったし。道を辿る事1時間。丁度午後1時半に、俺達は初めて知的生命体の住む街に(村と言った方が良さそうだ。)に辿り着いた。そこにいたのは、ゴブリンの集団だった。が、ダンジョンのゴブリンよりも弱々しい。
「お客、、、さんかえ?」
「ヒトさんかえ?」
「このヒト、、、ケンリショ持っているのではないかえ!」
「我らの主かえ?!」
驚きだ。ゴブリンの奴ら、喋れんのかよ。一番年寄りっぽいゴブリンが、こちらに近寄ってきた。
「我らの主様。貴方の持つその布袋の中に入っているのは、ケンリショかえか?」
布袋?ああ、リュックサックな。持っていたものやアイテムは、タクが出したリュックサックの中に入れていた。
「そうだ。我々に敵意はない。だが質問がある。なぜ我々を主というのだ?」
タクは答えて、さらに質問をした。
「ケンリショ持つ物、我らの主決まってる。昔から。久しぶり、ひときた。我らの主。歓迎する。久しぶりお客。」
変な言葉使いだが、それはどうでもいい。後でレイアに聞いたのだが、このゴブリン達は、洞窟の奴らと違い、知識に特化したゴブリンらしい。戦闘力は皆無なんだとか。言葉が話せるのこれのお陰なのだろう。彼等はとてもフレンドリーだった。俺達の事をすぐに受け入れてくれたので、こちらも受け入れる事にした。
その日の夜はパーティーだった。と言っても、食べ物はタクが全て出した。ゴブリンの食べ物は、不味い。食べただけで毒耐性が付きそうだ。なので、タクが出してくれたわけだ。ゴブリンにとって、未知の味とも言える、ステーキやコーンポタージュは、ゴブリンの長(先程の長老)に大人気だった。ゴブリンたちには名前が無いとか。なので長にだけ、オーサム(長=オサ→オーサム)という名前をつけた。オーサムからは、いろいろな話を聞いた。
「なあオーサム。魔界には人は居るのか?」
「いるます。国の都市にいるます。」
いるますとは、いますという事か?国の都市、、、何処にあるのだろう…
「オーサム。都市とはどこのことだ?」
タクの質問にオーサムは、
「東いけ見えるはず」
「教えてくれて有難う。」
つまり、更に東へ進めば人に会えるのか。
四天王の1柱、オークマスターはぼやいた。彼は防御能力の高いモンスターで、守備隊長に任命されている。
「ちっ。ホントなら今頃酒を飲んでいたのに。」
彼の本業は兵士だが、副業にバーのマスターをやっていた。彼は酒が大好きだった。酒が飲めない夜は久しぶりで、彼は最高に苛立っていた。
オークマスターの隣に、小さな少女がいた。彼女は火の精霊 フレイヤ。
正直今回の遠征は面倒臭いわ。ま、戦いになったら、森ごと焼き尽くしちゃうんだから。
四天王最後の1柱
その名もサラマンドラ。彼は炎帝グリフォンのペットであり、更に強力な戦闘力を持つ、火の鳥の進化系だ。彼は感じていた。自分と同等の魔法が使える物のチカラを。彼は、龍のサラマンドラの魔力を、同種の魔力として探知していた。サラマンドラは四天王の中でも最強。そのサラマンドラに匹敵する力を持つ敵がいる事に、不安しか感じられなかった。
彼等四天王のいるのは西の街 フレクラ。龍達のいるゴブリンの村から10km程離れた場所にある大きめの街だ。彼等は明日、ゴブリンの村に向かう事にした。
つぎの日、5大魔王が緊急招集されるのは、彼らも知らないことだった。
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