天使と悪魔

「ここ、どこ、、、?」

龍は目を見張った。そこには、自分と同い年位の男女が、果てしなく続く真っ白なある空間の中に隙間なく敷き詰められたように横たわっている。龍の見える範囲内だけで、恐らく数万人は居るだろうと推測できた。中には龍と同じように起き上がってあたりを確認している人も見受けられる。

ーひとまず記憶を整理しようー 俺はいつも通りに電車に乗って、レンと特撮の話を少しして、静かにしてもらって、、、確か誰かの声がして、、、

その後の記憶がない。取り敢えず辺りに知り合いはいないかどうか探すとするか。いや、もしかするとこれは夢?普通に考えてまずこの空間が可笑しい。果がなさそうだ。次に人が多すぎる。更に、俺はどうやってここまで来た?連れてこられた?こんな大量の人を一気に拉致したのか?可笑しい事ばかりだ。そうだ、これは夢だ。うん。きっとそうだ。一応自分をビンタするか?「バシッ」 いてぇ!夢じゃねぇなこれ。何なんだここ、ホントに、、、

何分経っただろう。もう周りの人たちも全員起きたらしく、みんなで話し合おうという感じにになっている。百人程でグループを作り、みんなが円になったその時、空にーーーいや空ではないな、天井か?ーーーにて大きな爆発が起きて一人の人影が、爆煙の中から現れた。

「18歳のみなさん。こんにちはゲーム案内役の悪魔のカーリーです。フフフフ、残念ですねえ皆さん。貴方達は、1000年に一度の天悪賭博ゲームの犠牲者となります。クククク。」

「お前は誰だ!?」

勇気ある若者にナイスと言いたい。彼が誰だか知らんが、、、あの悪魔とかいうやつの言うことが事実なら間違えなく同い年だろう。

「ククク。カーリーですよ。悪魔伯爵のカーリーです。フフフ。」 「うるせぇ!いいからその着ぐるみを脱げ!」

その悪魔と名乗る人物?は、180cmほどの身長に、青紫色の肌少し美男子風の顔にスポーティーな体つきをしている。が、多分女性だと思う。髪は赤紫色で、長く後ろへ垂らした美青年である。冷静に考えれば着ぐるみでは有り得ない程に引き締まった体だ 。よく見ると小さな尻尾が見受けられる。 さらに驚きなのは、小さな小さな羽が背中についていて、その力で空を飛んでいることだ。明らかに人ーーー人類ーーーではなさそうだ。空を飛んでいるのは化学では無く生物的な何かによるモノだろう。

いや、そんなことどうでもいい。ゲーム?悪魔?天使?なんだそれ?美味しいの?もう思考回路がショート寸前だ。

「うっせぇ!何が悪魔だ!このクソ野郎!!」

たしかに疑問な点は多いが、見た目は人では無いため俺はコイツが悪魔でも可笑しくはないかな?と思ったのも事実だ。

そんな彼に賛同する者たちが数名、円の中心に集まって上の悪魔を見ながら暴言を吐いている。俺は冷静に判断し、コイツを怒らせるのは良くないと判断し、彼らに賛同することは辞めておくことにした。

すると悪魔は、

「おやや、聞き捨てならないですネ。そうですね。貴方達には消えて貰いましょう。 《恐怖の暗黒》ーーーテラーダークネスーーー!!!」



円の中心は竜巻のように唸る正体不明の闇に包まれ、闇が消えた頃には、彼らの靴だけが綺麗に並べられていた。



俺達は初めて、死の恐怖を感じた、、、

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