~初心者マークでレイドボス戦~ ②

「でも俺は女の子らしくていいと思うけどなーっ」

「マイキーは黙って戦えばいいから! ふっ!」

「なんだよそれー……まったくさー! ファイア・アロー!」


 会話しつつも、どんどん攻撃していく二人。

 凄い、飛んでるキリバッドがバタバタと落ちていってアイテムになっていってる。


 見てるだけでもう凄い、凄いしか出ないよ――!


「アイカ、落ち着けよ。まずはとにかくその持ってる剣、“使って”みな?

 一応、それアイカの相棒だぜ」


 持ち手はパールピンク、そして銀色に光り輝いているロングソード。そういえば持っていることを忘れてたと思うほど、軽い。

 これで、本当に魔物キリバッドを倒せるのかな……。


「心配すんな。アイカが危ない所、こいつらが放っておくわけねぇだろ」


「うん……そうだね」


「たった1回でもいいからよ。

 今回は、その剣を“使ってみるだけ”でいい」


 ライトが、背中にトンっと音を立てて優しく叩いてくれた。


 心臓が高鳴る。


 わかった――。


 初めてここで、深呼吸したかな。


 大きく吐く。

 それから、これでもかってぐらい大きく息を吸い込んだ。


 湿った空気。土の匂い。


 どんどんデジタル化されていくキリバッド。


 沢山の戦士たち。

 めちゃくちゃ格好いい。


 周りを見れば、リーナやマイキーも居る。



 私も皆みたいに――――――――――!


 なりたい――――――――――――――!!!!!



 気がつけば、私は遥か上空を飛ぶキリバッドへと一目散に走り出していた。


「アイカ!? どこ狙って―――――!!」



 今の私のままじゃ、嫌だ―――――!!



 恐怖を振り払うように、おもいっきりジャンプした。


「おい……まじかよ……! ははっ、やるなぁアイカ!」




 届け――――――――――――――――!!



「声……? え!!!?? あの高いとこ飛んで行ってるのアイカ!!!?」


「アイカちゃん!!?? すっげ、ジャンプ力高い!!!」


『やったわね、アイカ。戦闘服の機能も十分に発揮できてるわね』


「おぉ! ルミナちゃんかぁびっくりした。綺麗だよねぃ、アイカちゃん」


「くぅぅ!! あたしすっごい燃えて来た!

 アイカ、行っけぇえ――――――――――!!!」




 空に

 大きく輝く星をみた。




 いける――――――――――――――!!


「っゃああああああああっ!!!!」


 キリバッドに斜線を描くように。



 ザシュ―――――――――――――――――――――――――!!!



 一瞬だった。



 ギィィィィィィィイァ―――――――!!!


 キリバッドは

 甲高い鳴き声を出して、そのまま光り輝いて消えた―――――――。


 代わりに、小瓶が、光が消えたと共に生まれてきた。


 アイテムだ!


 手を伸ばして指先で触れると、ほのかに光って、デジタル化されて消えていった。



 やった――――!!



 見えていた星より、今は広大に広がる夕陽が今は見える――。

 あれ、私の体――――?


「って、やぁああああああ―――――――!!??」


 高く跳び過ぎてた!? 着地の仕方がわからない―――――――!!!


「助けてぇえええええ!!!」


 堕ちていく、私の身体。

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