レイドボス・タランチュグラ戦

第6話 ~初心者マークでレイドボス戦~ ①

『はぁーい、ルナシスの皆、いいかしら。

 今回の敵の情報よ。画像転送するわね』


 通信機が鳴って、ルミナが明るく登場。


「げっ、流石、蜘蛛って感じ」


 画像を送ってもらい、リーナが心底嫌そうな顔してる。


『毒性を持つ【タランチュグラ】。

 巨大ってだけで……何度見てもおぞましいわ。

 このオレンジ色っぽい模様がなんともおぞましさを増しているわよね。

 あ、余談が過ぎたわね。

 タランチュグラの吐く糸が体にくっついちゃうと、しばらく敏捷力がほぼ0になるから、餌食にならないように、すぐに避けるのよ。いい?』


「おっけー、大丈夫」


マイキーはグーサインを送る。


『あと、空に大量に飛び回ってるのが【キリバッド】。雑魚キャラね。皆なら全く問題ないわ。アイカの腕鳴らしにも十分なるはずだし。

 そうだ、毒にかかった時のために、キリバッドを倒して回復アイテム補充しておいて』


「了解」


 ライトがキリバッドを眺めた。


『じゃ、アイカも、頑張ってね!』


 通信機から聴こえるルミナの明るい声。


「はいっ」


 戦闘を別の場所で指導する人って、どうしてこう楽しそうなんだろう。

 

 戦場レイドボスの場へと着いた私達だけれど、


 あたり一面はジャングルといってもいいような自然に溢れた場所。

 所々ぬかるんだ湿った土に、妙に霧も濃い。


 昔教科書で見た、アマゾン地帯みたいな空間。


 こんな、自然がいっぱい、だけじゃなく

 巨大なコウモリのような生物のキリバッドが空に待ちかまえていた。


 空を飛ぶキリバッドに向かって、沢山の光の線を描いていく剣や

ありとあらゆる魔法を繰り出す戦士達。


 自分のいる所とは、別次元の人たちに見える。


 この剣一本で、何ができるんだろう。


「来るぜ」


 ライトや皆、余裕だなぁ……。


 私は、怖い―――。


 私はいつから全部が怖くなってたんだろう―――。


 でも……。


「魔物の群れはもっと嫌―――――!」


「何叫んでんのよアイカ! 左から来てる!」


「え!? ぎゃっ!」


 リーナの声を聞き取れない程、余裕がない私。

 飛んできたキリバッドから避けるために思い切りしゃがみ込んだ。

 それでも、他の方向からキリバッドはしゃがんだ私にめがけて飛んで来る。


「っ!」


 そのまま動けなくなってしまった。


「っと、おい、アイカ大丈夫かよ!」

「ライトー……! ありがとう、でも怖くて……!! ぎゃー!!」


 ライトが助けてくれたからいいものの。

 助けてもらったっていうことが、画面越しなら

きゃーって気持ちになって嬉しくもなるのに、今は全然それどころじゃなくて。


「ちょっとぉお! アイカ、そんなとこに小さくなっても稼げないよー!」


 リーナの大声さえ、今は怖い。

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