~ぶっきらぼうも優しさのうち~ ②
「また始まったか。まぁ……アイカ。とにかく、目に見えるのは全部デジタルってこった。俺たちの体もな。アイカは何かのゲーム、やったことあるから、ここに居るって思ってんだが。それはあってるか?」
賑やかに論争を始めた二人を横目に、ライトが説明を初めてくれた。
「あ……う、うん、RPGものは分かりま……わか、る」
リーナから、初めに敬語は無しね、という言葉を言われているのに。
どうもそう簡単には緊張はなかなか拭えなくて、変な日本語になってしまう。
これが画面越しだったら
「うん! わかる!」
とか、にっこりした可愛い顔文字付けて、元気よく言ってるんだろうな。
ゼロのやり方とはいえ。
折角、危ないところを助けてもらって、仲間に入れてくれてるのに。
歓迎してくれてるのに、緊張ばっかりして……。
変な人って思われちゃうよ……。
私が緊張してるから、ライトが少し、眉を寄せたみたいに見えて、更に緊張が増す。
「ん……。それなら話は早ぇ。要するに、アイカが持ってる、デバイス……通信機だ。あるよな? メニューを開けるのが、それだ」
ふむふむ。
メニューかぁ……。
ゲームの話ならまだ緊張しないし、通信機を見ながら話すと、少し緊張が薄れた。
「そう。そしたら、アイテムを使いたい時は
通信機のメニューを開いて……」
使いたいものを選ぶと、それが使える。というわけか。
「本当、ゲームと一緒……」
「そ。ゲームと一緒。装備も、自分の力…ステータスも、全部確かめることが出来る」
言葉を拾ってくれたライト。
「ったく! ライトはライトで、ぶっきらぼうじゃない!?
アイカが怖がってるの、ちゃんと分かりなさいよね!」
「うわ、とばっちり受けた。女ってこういう時、ほっんと怖ぇよなー……」
苦そうな顔をした後、ライトは私の顔へとまた向き直った。
「ワリィな、怖がらせちまってたか。全然、俺そういうつもりねぇから分かんねぇんだ」
頭をぽんっと優しく叩かれた。
う、お。
それはそれで緊張します、ライトさん。
私、そういったことされ慣れてないっていうのに……!
っていうか何か子供扱いされているような気も……!!
わー……恥ずかしい……!!
緊張の方が勝ってるはずなのに。恥ずかしい。
怖いんじゃなくて、緊張なのに―――。
素直に、言えたらいいのに―――。
たった一言。
言えない自分が、もどかしい。
「あー!! ライト、抜け駆けした!」
マイキーの大きい声に、私の意識が整えられる。
「あのなー、“わりぃなっ”てしてただけだろ。そんな大声だすなっての。
お前もして欲しかったんなら言え。いつでもしてやる」
「いらん! いっらぁん! 男にされるぐらいならアイカにしてもらう!」
「マイキー、やっぱ馬鹿」
リーナの一言でまた賑やかさが戻った。
いいなぁ。私も……一応、仲間になれたけど。
画面越しじゃないだけで、どうしてこんなにも緊張するのかな。
人には“接客”ばっかりやってきたから、どうしていいか分からない――。
いつの間にか身についてたのが、なんだか悔やまれる……。
ピン ポン パン ポーン ♪
その時、艦内に明るくお知らせ音が響いた。
『ルナシスの皆ー、話してるとこ悪いけど、レイドボスがでたわ! 出撃して』
ルミナの声に私は顔を上げる。
俯いていたんだ、私。
「よっし! ストレス発散にレイドボス、フルボッコ!! いくわよ、アイカ!」
「え!? あ、うん!」
「えー!! なーんーだーよーそーれー!」
「うっせ。ほらっ、いくぜマイキー」
「あいたっ! 叩くなよライトォ!
ったく、俺だってストレス発散してやらぁっ!」
リーナに手を引かれながら、先程目の当たりにした巨大ミミズを思い出す。
あんなのを、また見るの……!?
私、戦力になれるのかな……。
怖い――――。
複雑な気持ちが巡る私を含めた
チーム・ルナシスが、
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