第13話 3ページ
その日の夜は、まったく眠れませんでした。混乱は1時間程度で消えましたが、それに代わって強い孤独感が私を襲いました。
あれほど、寂しい夜は体験したことはありませんでした。父が離婚して、家に帰ってこなくなったあの夜以上の寂しさでした。
そして悟ってしまいました。この体験は、一生のうちに何度も経験するのだということを。
親しい者。見知った者。友人。親戚。家族……。別れはいつかやってくる。別れと共に、混乱と孤独感がやってくる。
私を含め、このサイトで活動する者たちは、小説を書いています。私たちの書く物語には、様々な人物が登場します。その人物たちはその物語の中で生活しています。
彼ら彼女らを生かすも殺すも、作者次第であり、作者に権利も責任もあります。誰も死なない、そんな優しい世界の物語も存在しますし、私もそんな物語は好きですが、絶対に死なせなくてはならない状況や内容も確かに存在します。
ですが、どうか彼ら彼女らを、簡単に殺さないでください。物語の都合とか、リアリティを出す為とかいう簡単な理由で、殺さないであげてください。殺すのであれば、どうか遺された登場人物たちの気持ちや思いを、可能な限り、出来る限り、最大限に表現して、書きあげてやってください。
私がつい先日経験した、とんでもない大事件から学んだことです。
最後に。
こんな得難い、出来ることなら2度と会いたくない経験をさせてくれたA君へ。
遺された者たちに、昨日霊安室や火葬場で別れを告げたと思うし、私も言いたいことは霊安室で言ったので、最後にこれだけ。
――……ありがとう。 どうか安らかに。
――冬空ノ牡羊――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます