第11.5話 私の足元に、猫が寄ってきた。

 あの日私は、生と死の境界線の前に確かに立っていた。人生のターニングポイントというのは、きっとあの場面のことを言うのだろう。


 私はあの時、確かにその境界線に片足を踏み入れていた。もう後には引けないんだろう。そう思っていた。もしかしたら、そう思い込んでいただけだったのかもしれない。


 今となっては、もうわからない。


 目が覚めると、私の目の前にはいつもの風景が広がっていた。白い木で出来たフローリング。真っ白な壁。レースのカーテンのかかる窓からは、うららかな光が刺している。さわやかな春の風が室内に入り、私の代わりに読書でもするように、読みかけた本のページをめくっていく。


 ふと足元を見ると、猫が4匹丸くなって眠っていた。白、黒、三毛、虎模様。

 みんな毛並みも性格も違う。けれどみんな、私の足元で丸くなっている。私はしゃがんで、それぞれ撫でてみる。みんなふかふかしていて、暖かい。


 それだけだった。たったそれだけ。


 それだけだったけど、私は確かに、癒された。あの悪夢を忘れることは出来ないけれど、目覚めさせてくれた。

 


 ――ありがとう。



 ……と、いうわけで(どういうわけだ)牡羊はなんとか生きております。なんやかんやで仲直り的なことになりましたし、解決の見込みが経ちました。

 人間恐怖症と自己嫌悪、その他諸々の負の感情が混ざりに混ざって大変なことになっていました。皆さん、こうなりたくなかったら、自分の感情はコントロールできるようになりましょう。


 さて、今回は11.5話、つまり追記的な扱いということで、このへんで筆を止めます。


 最後に。

 今回、私を立ち直らせてくださった4名の方々。特に応援コメントと、今回の本文ネタを思いつくきっかけを下さった月ノ瀬 静流様。

   

          本当に、ありがとうございました。

                              冬空ノ牡羊 著


 

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