第8話 人里



 人里に着いた。


 活気づいている。

 ちょっと暑いけど、快適そうだ。


「りーおー! みてみて! みずがぶしゃーって!」

「るー。それは噴水って言うんだよ」

「ふんすー!」

「ふんすい」

「ふんすいー!」

「そうそう、えらいねー。」


 噴水が空気中に水を撒くことによって、あたりの温度を下げているのだろう。

 近くに川とかがあったら、電力のいらない噴水とかを作れるのかもしれない。


 原理とかは知らないけど、物理学の世界ってすごいな。



 パタパタと走る白髪の女の子を、里の人たちは微笑ましく見守った。


 でも、ゼニスと並んで歩くぼくは、やはり奇異の目で見られる。

 どこに行っても、黒い髪は悪魔の髪なんだ。


 黒っぽい髪の人はいるけど、ここまでツヤのない炭のように真っ黒な髪は僕しかいない。

 灰色や黒っぽいブラウンなどはちらほら居る。


 でも黒はいない。


 それに、この世界は赤い髪や緑色の髪をした人もいる。


 黒系は少ない。


「るー。もどっておいで。」

「うん♪」


 ルスカが僕に抱き着いて蕩けた笑みを浮かべると、周りの人も、頬を緩ませた。


 最初から忌子だとわかっていなければ、少しは受け入れてもらえるのかな。



「ゼニス。お久しぶりです。」

「おお、クロ―リー。老けたな。」

「そういうゼニスは、変わらんな。」

「当たり前だ。」


 そうこうしていると、ゼニスに話しかけてくる青い髪の男が居た。

 どこか兵士っぽい

 なんだこいつ。


「ゼニス。この子たちは?」

「私が保護した神子と魔王の子だ。」


 そうだよ、忌子だよ。文句ある?


「魔王の子だと!? ここで叩き切って」

「やめておけ。この子には敵わん。それに、この子たちは双子。リオルの方も、危険な思想は持っておらん。信用していい。」

「しかし………」

「この子は生まれながらに虐待を受けてきた。3歳の子に人並みの幸せを与えてはやれんのか、貴様は。」


 そういって僕をだっこするゼニス。

 ゼニスは優しいから安心する。でも心は許せない。


 裏切られるのなら、最初から信用なんかしない方がいい。


「ぐ、わかった。危険なようなら、切り捨てるぞ。」

「好きにするがいい。」

「痛いのはいやだよ。」

「りおをいじめないで!」


 頬をふくらますルスカ。

 おお、まい、エンジェル。


「神子様がそうおっしゃるのであれば………」


 しずしずと下がる兵士。

 剣を扱う人なんだろうか。


 魔法があるといっても、剣を使う人だっているはず。

 冒険者なんて、魔法よりも剣士の方が多いっぽいし。


 剣士は魔法使いを見下しているそうだ。


 僕は魔法にロマンを感じるから、魔法の方が好きだな。


 でも、剣も振るってみたい。

 どっちもできるようになりたいけど、僕は筋力が足りない。

 全部ピクシーとローラのせいだ。


 普通の3歳児の半分くらいしか動けないんじゃないかな。

 今は成長中だし、鍛えれば普通にはなりそうだ。



 そういや、七つの龍の玉を集める物語では、10倍重力の部屋で特訓したりしてたんだっけ。


 僕の無駄魔力なら、それくらいできるだろう。やってみよう


 ゼニスに降ろしてもらい、1.5倍の重力を自分に掛ける。


 転んだ。


 あきらめた。



「なにをやっているのだ、リオル。」

「僕は体力が圧倒的に少ないからさ。鍛えようと思ったんだ。」

「ふむ。たしかに軟弱な体よの。膨大な魔力があるというのに………精進するがいい。」



 じゃあ精進する。

 1.1倍の重力で生活してみよう。


 ちょっと体が鉛のように重いけど、それだけだ。

 体重計と言うものはないけど、僕の体重が9.2kgから10kgくらいになった。


 体が重い。

 1kgでこんなに変わるものなのか。

 僕の身長は85cm平均と比べたら低いんだろうか。このくらいが普通なんだろうか。よくわからない。



「ゼニス。お金って持ってるの?」

「うむ。お前たちの服を買いに来たのだぞ?」


 この世の通貨を、僕は知らない。


 聞けば金貨や銀貨、銅貨を使っているらしい。

 価値の低い通貨から紹介しよう。


 鉄銭てっせん――1Wウィル

 銅貨どうか――10W

 大銅貨だいどうか―100W

 銀貨ぎんか――1,000W

 大銀貨だいぎんか―10,000W

 金貨きんか――100,000W

 大金貨だいきんか―1,000,000W

 白金貨はっきんか―10,000,000W



 こうなっているらしい。


 大銀貨から上は一般人にはあまり流通していないんだって。

 そりゃそうか。金持ちが持っているんだろうね。


 10枚ずつで通貨が変わるらしい。

 日本じゃ5枚ずつで変わってたね。

 5万円札とか10万円札とかあったら、金持ち連中は楽できたんじゃない?

 ………偽札とか出回っちゃうか。ここは日本じゃないし、どうでもいいけど。


 ちなみに、銀貨と大銀貨を見せてもらったけど、100円玉と500円玉くらいの大きさだった。


 白金貨とか、なくしちゃいそうで怖いね。

 でも、ふとした時に机の下から見つかったら奇声をあげて喜びそうだ。

 なんせ一千万だよ。そんなもんが机の下から出てきたらそれはそれでおかしいけど。


「とりあえずさ、毛皮とかを換金できる場所に行きたいんだ。クロ―リーさん。場所わかる?」

「む………思いのほか礼儀正しい。」

「教えてよ。」

「わかった、なら、冒険者ギルドへと行くがいい。そこに換金所がある。」


 おお。この里にはそういうのがあるらしい。

 魔法ギルドとか魔術ギルドみたいなものもあるのかな。


 でも、今は無縁だろうな。紫竜の里で暮らす方が楽だ。

 成長したらなにかお礼をしてから出て行こう。


「だが、付近にはダゴナン教会が近くにあるから、まずは服を買いに行って、その頭を隠してやるといいかもな。その髪を見ただけで、教会の連中はお前を殺しに来るかもしれんから。」

「わかった。ありがとう」



 ダゴナン教会ってなに? 怖い。

 僕は忌子じゃないよ、人間だよ。


 イタゾアクマダソッチニイッタゾトラエロシバリアゲロー


 見てよこの髪この翼。どう見ても人間でしょ


 アクマノカミニアクマノツバサダコロスノダー


 ルスカだって居るよ、僕の妹だよかわいいでしょ


 アクマガミコヲセンノウシテイルゾナンテコトヲスルンダー



 みたいな? 教会の人って頭悪そう。

 勝手なイメージだけどさ。


 でもま、黒い髪、それに闇属性を禁忌とする、そんな宗教があることは……うん。

 その話だけでよく分かったよ。

 おそらく、広くに浸透している宗教なんだろうな。

 そんな宗教がある状態で、僕のこの黒髪、そして漆黒の翼があるのなら………抹殺対象にならないわけがないか。


 それに………ローラや魔法屋のババア。それにピクシーが僕に暴力を振るってきたのも、おそらくその宗教が無関係とは言えないだろう。


「では、服屋に行くとしよう。」

「やったー!」

「やったのー♪」



 ちょこちょこと歩きながらゼニスを追う。

 周囲の視線はゼニスが受けてくれるが、それでも好奇の視線をよこされる。

 漆黒の髪の男の子と、純白の髪の女の子が歩いているのだ。それは目立つのだろう。


 ひそひそとこちらを窺って話す、小さなささやきが聞こえてくる


 ………いい気分はしないな。

 初めから髪を隠させてくれたらいいのに………。

 なんでゼニスはこんなところを歩かせるんだ。


「堂々と前を向け、余計に怪しまれるぞ。服屋についたらバンダナを買ってやる。それまでの辛抱だ」

「………うん」


 服屋に着いた。

 思ったよりも近いな。

 多くの人に見られたわけじゃないが、それでも嫌悪感の残る視線を受けたのだ。

 僕の心のトラウマを刺激されて心がささくれ立つ。


「この子たちに服を。」

「あらぁ、ゼニス。久しぶりね。5年ぶりかしらー。変わらないわね」

「うむ。リンは老けたな。」

「まぁ、殴るわよー」

「構わん。どうせ効かんわ! ワハハハハ!」


 ダスダスとゼニスの脳天にチョップをかます茶髪の店員さん。


 仲いいな。人間と仲良くするドラゴン。

 ゼニスは信用してもいいかもしれない。


「この子たち………あら?」

「うむ。髪のことか? この子はこの髪のせいで虐待を受けていてな。触れないであげてくれ」

「まぁ、わかったわ。」


 途端に同情の目をする店員さん

 ありがとうゼニス。こういう目を見るのは久しぶりだ。


 でもどこかローラに似てる。ああ、ローラも同情の目をしていたのか。

 同情するなら現状をどうにかしてくれ。

 金じゃなくていいから。



「頭の髪を隠せるバンダナが欲しい! 何枚か!」


「うふふ、わかったわ。待ってなさい」


 簡単に僕たちの寸法を測っていく店員さん。


「こんなところかしら。好きなのを選んでね」


 僕たちの寸法に合うものから、少し大きめの物をまとめて持ってきた。

 わお。


 選んでいいの?

 服にサソリとか入っていない?

 大丈夫?


 よし、じゃあ選ぼう!


「うわぁーーーい!」

「きゃあ~~! りおー! るーも、るーもえらぶー!」


 僕たちに合いそうな服を選んだ。


 フードつきの物。

 バンダナ。

 髪飾り。


 ズボン

 パンツ

 タオル


 あと財布。


 財布は余った生地で作ったんだって。

 本当はただの小物入れ。これはタダでもらった。



 できるだけ僕が持っているお金で払いたかったけど、8万Wウィルくらいかかった。

 服って高いんだね。まぁ、それだけいっぱい買ったし………それに二人分だしね。当然ながら僕たちはお金を持っていないから、ゼニスが払ってくれたよ。


 ゼニスってばお金持ちさんだね!



「ありがとう、そろそろ帰るぞ。」


「ゼニス。また来てね!」

「うむ。10年以内には来よう。」


「「ばいばーい!」」


 ルスカと二人でリンさんに手を振って帰る。


 服はゼニスのリュックに入れた。

 せっかく毛皮や果物が無くなったのに、またパンパンになっちゃった。

 でもゼニスは重くなさそうだ。

 すごいや。


 

………

……




「リオル。着いたぞ。ここが冒険者ギルドだ。」


「りお、いこ?」

「あ、うん」


 なんか酒場みたいな建物に入るゼニス。

 ぼうっとしていたようだ。ルスカに手を引っ張られてギルドに入る。


 中は喧騒で溢れており、男たちが酒を飲みながら今日倒した魔物がどうだ、明日の仕事はどうだと話し合いをしている。


―――ゾクリ


「―――っ」


 ゼニスが冒険者ギルドに入った瞬間、突然、僕たちを値踏みするような視線を全身に受けて身震いしてしまった

 僕の緊張に気付いたのか、ルスカが僕の手をぎゅっと握って先導してくれる


 ああ、なさけないお兄ちゃんでごめんね、ルスカ。


「あ、ゼニスさんだ! こっちに帰ってきたんですね!」

「うむ。出迎えご苦労。」

「今度パーティ組んでくださいよ!」

「うむ。断る。」

「ゼニスさん、結婚してください!」

「うむ。貴様にはドブネズミの嫁がお似合いだな。」



 ゼニス、大人気。


 そしてゼニス。すっげー毒舌。

 入ってきたのがゼニスだとわかるや否や、むさくるしい冒険者たちがゼニスを囲んで話をし始めた

 いきなりの状況に僕もルスカも蚊帳の外だ。


「ところでゼニスさん。その子は?」


 めざとく、ゼニスの足元についてくる僕たちを見つけた冒険者がゼニスに聞いてくるが、それに対しゼニスは、周囲の冒険者に対しての爆弾を投下することになる


「うむ。私の子だ。」


 と。


「「「なにいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」



 大賑わいの冒険者ギルド。

 まさかゼニスさんに子供がいたとは、と驚く冒険者たち。

 奇遇だね、僕もゼニスの子供だったとは知らなかったよ。


「リオルです! よろしくねー!」

「うー………」



 ルスカは僕の服の裾を握って俯いている。

 こんなにいっぱい初対面のこわもてさんが居たら、恐縮しちゃうよね


 でもね、僕も足が震えているんだよ。


「るー。ごあいさつ。できる?」

「う、ん………」


 ルスカの頭を撫でてやり、手を握る。


「るすか。さんさい!」


 ビシッとスリーピースが決まった


「「「かわええええええええええ!!」」」



 おい貴様ら。僕との差はなんだね。

 不愉快だ。髪を隠したところで、ショタのかわいらしさは幼女の愛くるしさには勝てないのか!


「ええい、貴様らどけ。私は換金所へ用があるのだ!」


 紫色のドリルを揺らしながら冒険者たちをかき分けるゼニス。

 よっぽど人気なんだね、ゼニス。


「ゼニスって、冒険者なの?」

「うむ。私はこれでもソロでSランクの冒険者をしているのだ。私の種族は竜人族ということになっている。有名人だぞ。すごいだろ。」


 だから人型で、魔物のランクにも詳しくて、人間にやさしいのか。


「本人がSランクの紫竜なのにね。」

「言うなよ?」

「だったら僕を人前で黒髪晒して歩かせないでよ」


 自分だけ正体を隠して、バンダナをまだ買っていなかったとはいえ僕らの頭を晒したまま歩かせるのは卑怯なんじゃないの?

 『魔王の子です』って宣伝しながら歩いているようなもんじゃん。やだよそんなん

 ゼニスのセリフに、真っ向から噛みつく。


「む………すまないことをさせてしまったようだな」


 形のいい眉を寄せて謝るゼニス。単純にそこまで考えが及んでいなかったんだ。

 竜であるゼニスは、人間の宗教に興味を示していない。だからこそ、僕とルスカを差別しないで接してくれるのだから。


 でも………。

 それでも!


 未だに信用ができないのだ。親代わりに育ててくれることは感謝しているけれど、僕にだってトラウマはあるのだから。


「もういいよ。ゼニスのおかげで視線は少なかったし。まあでも、ゼニスも僕が忌子だって公言しないならね。この視線は変わんないだろうけど。」

「まあ、そうだな。」


 と、そんなこんな話しながら、換金所に到着。

 換金所のお姉さんは苦笑いだ。

 子供をこんなところに連れてきて武勇伝の自慢かしら? みたいな表情だ。


「おい、この毛皮を換金したい。」


 まあ、そんなお姉さんの事情はどうでもいいので、ゼニスもリュックに仕舞ってある毛皮の換金をお願いするのだ。


 毛皮ってかさばるからなぁ………。見た目よりも容量がある魔法のバッグとかないのかな………

 あったらいいなぁ、そういや、魔法屋ってのもあるらしいし、面白い魔道具とかも売ってあるみたいだし、そういう便利な道具も売ってるかもしれないね。

 お値段は張りそうだけどさ。


「はい………まぁ! Bランクイエロークラスのホワイトベアーですね! 大銀貨5枚と銀貨7枚で買い取らせていただきます」


 五万七千


「オサイノシシの毛皮二枚ですね。一枚につき、大銀貨2枚で買い取らせていただきますが、一枚、状態が悪いので、半値で買い取らせていただきます。」


 八万七千


「ガウルフの毛皮は状態がいいようなので、大銀貨1枚と銀貨2枚で買い取らせていただきます。」


 九万九千


 おお。毛皮だけでそんなに儲けられるものなのか



 でも物品の相場がよくわからないから、多いのかどうかよくわからないな。


「ガウルフの分は、リオルが持っておれ。」


 ということで、一万二千Wウィルは僕があずかることになった。


 いただいたばかりの財布にお金をいれて、ゼニスのバッグに入れてもらう。

 どうせ買うものとかないし、3歳児の僕が買い物に行っても相場とかわからないからぼったくられるよ。まちがいなく。

 というか、とくに買うモノとかもないしね。


「討伐依頼を達成すれば、その報酬ももらえるぞ。」

「ふーん。討伐のほかに、採取ってあるの?」

「うむ。ある。だがそれは採取部門だ。窓口はあっちだな。」


 討伐と採取は別物らしい。

 つまり………どういうことだ?


「討伐と採取で分かれているの?」

「ああ。危険の種類がまるで違うからな。採取の場合は危険な崖などに生息する花や木の根、渓流で獲れる魚などを採取することもあるから、剣よりもそういった危険な場所を渡るための道具に比重を置かれる。山を下るときに見た登山者がいただろう。あれがそうだ」

「ふぅん、でもさ、街や村の外って魔物が居るんでしょ?」


 白熊にも出会ったし、狼にも出会った。イノシシだって出たんだよ。

 採取っていっても、魔物が全くいない訳じゃないはずだよね


「もちろんだ。採取部門の者たちも、最低限の自己防衛はできなければならない。Dランクブルーにもなれば各上の魔物を追い払ったりうまく隠れる術も持っているはずだ。無用な戦闘は避けるのだよ、そういった者たちは。」


 へー………。

 採取で竜のタマゴの依頼が来たらどうするんだろうね。討伐の冒険者を雇うのかな。


「もしかして冒険者をしていると、身分証明になる?」

「む、そうだな。ギルドカードがあると、何かと便利だ。」

「たとえば?」

「立ち入り禁止の火山に入れる。」

「ケリー火山?」

「うむ。」


 赤竜さん逃げてー


 冒険者ギルド。

 今は僕は幼すぎるから関係ないか。


 将来的に、最低ランクでもランクを取っておいた方がいいかもしれない。


 僕は自分の身元を保証するものを何一つ持っていないもん。


「街での治療費など施設の利用料金は高くなるが、冒険者には納税の義務はなくなる、という利点もある」

「なるほどねー」

「まあ、さすがに子供になれるような職業ではないのでな、15歳からと年齢制限がついている。それ以下で冒険者になろうと思うのなら、Bランクオレンジ以上の冒険者からの推薦が必要となる。こちらはBランクオレンジ が太鼓判を押すのだから年齢の下限はない。極論でいえば、赤子でさえ冒険者になることもできる。ただ、そいつがDランクブルーになるか、15歳を過ぎるまでは何か問題が起こった際、推薦したものが責任を持たねばならないがな」


 なるほどね、推薦するにも責任が付随するのは当然か。既定の年齢以下で冒険者になるなんて、普通なら無理に決まっているし、プロの冒険者が大丈夫だと言ってくれないとそりゃあ任せることはできないだろう。

 むやみに人を死なせるのは、ギルドとしても儲けにかかわってくる話だからね。



「ま、身分証はいつかは欲しいけど、今はいらないし、帰ろうか」

「おなかすいたのー」

「そうだな、里に戻るとしよう」



 今度はあの山道を登るのかな………などとげんなりしながらギルドを出ようとしたところで、またトラブルが舞い込んだ






「ゾンビドラゴンがでたぞー!」



 青い髪の兵士さん。クロ―リーが慌てて冒険者ギルドの中に走ってきた。

 緊急依頼ってことかな?


 それに、ゾンビドラゴン? なんてこった。


 いったい誰がドラゴンの死体を放置したんだろうね。







 ………僕かな?




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