chapter 3 前兆 -2

2  ―月―日 caste



 この私立宵崎(ヨイサキ)高校は都内某所にある普通校である。

 進学校と言われればそうだし、準進学校といわれればそうだし。

 つまりは、生徒たちによってシステムを変えられる、ある意味で都合のいい高等学校だ。


 そんな宵崎高校の3年1組は校内、そして歴代随一といってもいいほど荒れ腐っているクラスであった。

 この高校自体は評判が悪いわけでない。

 いわゆる不良とかヤンキーとか、傷害事件とかいじめとか、そういうものとして話題になることはほとんど皆無である。


 しかし3年1組は違った。

 この学級にはある『制度』が確固たるものとして根強く存在している。

 自然とまるで空気のように、いつの間にか『それ』は出来上がっていたのだ。

 『それ』は大小はあれど、おそらくどんな学校のどんなクラスにすら存在しているものであるだろう。


 このクラスには鮮明かつ巨大な『スクールカースト』が存在しているのだ。


【スクールカーストとは、現代の日本の学校空間において生徒の間に自然発生する人気の度合いを表す序列を、カースト制度のような身分制度になぞらえた表現(Wikipediaより引用)】

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