第58話

 草原にガッツの塔はたたずむ。

 外壁には光の走るラインが通っており、どこか近代的なふんいきだ。


 光を取り入れる部分があり、中も暗くはなさそうだ。



「誰が。なんのために。どうしてこんな場所に建てたんだろうな」


「さー」


「しかも、二本も。不思議じゃのう」


「あっ。そうです、そうです。ムゴワの中身をヤキソバさんに渡さないとデス」



 テッシちゃんは、魔輪ムゴワを取り出す。



「また、箱を使うことになるとは……」



 預けにくい物も、持ってきているから。

 それを入れるために、箱は持ってきていた。


 中身は、ほぼカラだったが。



「活動不能かいふく薬は五本わたすよ。こっちも五本。足りるか?」


「どっちかのパーティだけ、沢山つかうとかになったら、五本じゃ足りないのう」


「まあテレポあるし~。いざとなったら、帰ればいいよ~」


「相手が飛んで逃げるの前提なら、片方だけでも塔に登るの失敗したら、クエ失敗なんだからね? 絶対失敗しないでねお兄ちゃん」


「できるだけ頑張るわ」


 自分は、絶対成功すると思ってるのが、妹らしいな。

 妹は左の塔、俺は右の塔に入ることになった。


 スタートダッシュといわんばかりに、妹は走っていった。

 続くテッシちゃん。



「俺たちも行きますか」


「了解じゃ」


「は~い」



 俺たちの方も塔の中に入る。



「ちょっとステータス確認したいので、武器を抜いてもらって良いですか?」



 みんなは武器を抜く。



 ヤキソバ LV二六 ショウニン

 HP 五九六〇/ 五九六〇 BP三四六〇


 カゲヤマ LV二六 オンミョウジ LV二六 ニンジャ

 HP 五七〇〇/ 五七〇〇 BP三二〇〇


 ウェイブ LV二五 デリーター

 HP 五五〇〇/ 五五〇〇 BP三五〇〇


 デリーター?



「すいません。デリーターってどんなクラスです?」


「説明するのめんどくさい~。戦闘になれば分かるよ~」


「それもそうじゃのう」



 おいおい。

 カゲヤマさん納得しちゃったよ。

 いきなり強いやつが、出なきゃいいけどな。


 歩きながら話す俺たち。



「ウェイブさんふつうにレベル高いですね。SP高くて、セレクターだってバレなかったんですか?」


「なんで知ってるの~? まあいっか~。SPを非表示にしてたんだよ~」



 そうなのか。

 ついでにギルドに誘ってみるか。



「俺のギルドに入りませんか? 全員セレクターで、バレても安心ですよ?」


「入る~」


「入っちゃった!」


「よろしくなのじゃ」


「よろ~」


「ウェイブさんって冒険者長いんですか?」


「五か月前にこの世界にきたんだよ~」


「わしもそうじゃ」


「俺もですね」



 みんな、俺と同じ時期か。

 異世界からきたってのは、ガイドブックの情報か?

 角を曲がると前方に敵。


 たかさ二メートルほどの樹木が、服を着てあるいている。

 向こうはこちらに気が付いたようだ。



「ヤキソバって冒険者協会で、全然スキルチェックしないけど。新しいの覚えてるよ?」


「早くいえよ……今いうのかよ。っていうか。冒険者協会で、そういうことできるのかよ」


「ヤキソバ殿は、ほんとうに抜けてるのう……」


「いっちょ、やってみますか~」

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MP10000な俺の妹が、ターン制異世界でも、かまってちゃんすぎる件 タコタコ @kojirou

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