塔と竜騎士とデリーター編

第57話

 九月一日。

 一陽九時半。

 俺の部屋。


「そろそろ塔にいこうよー」


 妹はブーたれる。


「まだ、『ヤキソバ、ステ発表会事件』のほとぼりが……」


「少なくとも、今月いっぱいはムリだよ。さっさとみんなを呼んで塔に行こうよ。変装すればいいじゃん」


「俺の顔は出回ってないとおもうけど。万が一を考えると……まあ仕方ねえ変装していくか」


 俺はみんなを集めた。

 その後。

 ウェイブが「よりたいところがある~」というので行くことにした。


「ここ何です?」


「ここはテレポート屋さんなの~」


「塔にテレポートできるんですか?」


「逆だよ~。塔からここにテレポートできるんだよ~経過時間で」


「とりあえず入ってみようよ」


 俺たちはテレポート屋に入る。


 中に入ると壁に紙が貼ってある。


 こんにちは。

 ここはテレポート屋です。

 ひとり一回二千クリ。

 洞窟で生き埋めになったら……

 ダンジョンで迷子になったら……

 そんな心配も一気に解決。

 『時間経過』か『テレポを三回連続でいう』ことで、

 テレポ屋にすぐに戻れます。


 なるほど。そういうことか。


「便利でしょう~?」


 俺たちは十二時間コースで、テレポ効果を受けた。

 そして、ガッツの塔まで歩いていき、無事についた。


「ここまでは順調だったね。お兄ちゃん」


「ああ」


「デスね」


「そうじゃのう」


「そうナノね」


 俺は塔を見上げていた。

 しかし、まさか塔が二つあったとは。


「どうする~? 流石に面倒じゃない~?」


「何で依頼者は、どっちの塔って書かなかったんだろう……?」


「書いても、同じことかもしれないですけどね」


「どういうことデス?」


「片方の塔に登っても、もう片方の塔に逃げられたら……ってことじゃないかのう」


「竜騎士って竜に乗れるみたいだからね。きっと飛べるんだろうねー」


「なるほどデス」


 どうしたもんか。


「ねえ、お兄ちゃん?」


「なんだよ」


「二手に分かれて攻略しようよ」


「パーティを二つに分けるってことか?」


「そうそう」


「大丈夫かよ」


 なんか不安だな。


「わたしのところは、テッシさんだけでいいよ」


「ヒーラー連れていくのかよ」


「カゲヤマさんも使えるじゃん」


「まあ、そうだけど」


「ウェイブさんは未知数だし、そっち三人でいいよ。よかったじゃん」


「フェリリは?」


「フェリリさんもあげよう。わたしってば優しー」


「連絡は、携帯魔話器をつかうのか?」


「そーそー。安心して。しっかり実況するよ」


 こうして俺たちは、マヤ、テッシ組。

 俺、カゲヤマ、ウェイブ組。

 その二手に分かれて、ガッツの塔を攻略することになった。

 大丈夫かな……

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