第55話

 俺は小走りで走っていた。


 ステ露出狂を止めるために。


 一階のロビーに辿りつくと、それはもう始まっていた。


「これからステ発表会を始めます。イエーイ」


「うおおおおおおおおお」


「久しぶりだぜー」


 中央の妹を、ある者は立ちながら。


 あるものはテーブルで頬杖をついて。


 また、ある者は床に座り、かべを背もたれにしてみている。


 二十人……。


 いや三十人くらいは、積極的に見てるかな?


 一部、こぶしをふりあげて、テンションがヤバいのもいる。


「もう始まってますね……。ヤキソバさん止めてください。わたし大勢の人に、注目されるの、ホントだめなんです」


 もと三つ編みのお姉さんは、俺の右斜めうしろだ。


 前かがみになって、肩で息をし、両手を膝についていう。


「すいません。大勢の人に注目されるのは、俺もだめなんですよ」


「ヤキソバさんって、結構たよりにならないですよね……」


 お姉さんは目を閉じ、顔に影をつくって息を吐くようにいう。


 期待にそえなくて、すいません……。


「やり方が分からないなら、俺がやろうか?」


 スキンヘッドだ。


「よろー」


 妹は、ステ鑑定書をわたす。


「代理人となりましたアークです」


 ロンゲがいう。


「ライトです」


 スキンヘッドがいう。


『ふたり合わせて、アークライトです』


 なんで合体させた?


 スキンヘッドが続けていう。


 手には円柱の筒が、拡声器か。あれ。


「えー。恒例となっている、ステータス鑑定発表会の時間です。

 このためにボイコット町に留まってる、という物好きもいるかもしれないですね」


 観客はドッと沸く。


「もう知ってる人は多いと思いますが、初めての人もいらっしゃるかと思います。


 なので、説明の方をさせていただきます」


 説明してくれるのか。


 スキンヘッドは続ける。


「今から発表するものは、『基本ステータス』というものです。


 筋力


 敏捷力


 知力


 技術力


 魔力


 抵抗力


 潜在能力


 の七項目でなりたっています」


 ああ、転生の部屋でわり振ったやつだよな。


「潜在力以外の項目は、実際の肉体において影響があるとされ。『自分の知り合いは、華奢なのにすごい力がある』そんな人は、これが高いからだと思われます。『もともとの肉体に』加算されるということですね」


 テッシちゃんみたいな人のことか。


「自分も筋肉があるように見えて、筋力がDだったので、『ライトって意外と、力ないよね』なんて知り合いに言われることもあります」


 ライトは笑っていう。


 なんかつれえ……。


「『基本ステータス』は、潜在能力以外はCが平均で

 S 二五

 A 二〇

 B 一五

 C 一〇

 D  五

 E  〇

 となっています」


 ほうほう。


「潜在能力だけは、C以上しかありません

 S 一五

 A 一〇

 B  五

 C  〇

 となっています」


 そうなのか。


「次に『スキルステータス』です。

 これは、大半のボイコット町の冒険者には、関係ないかもしれません。

 ですが慣習上、発表させていただきます」


 なんだそれ。


「それは、次のようになっています

 S  一一〇

 A   九〇

 B   七〇

 C   五〇

 D   三〇

 E   一〇


 この数字は、一〇上がると+表記がつき。


 二〇上がると、次のランクに上がります。


 六〇だったらC+、八〇だったらB+です。


 ただし慣習上、一〇〇だけはA+ではなく、S-となっています。


 これは『基本ステータス』とリンクしています。


 たとえば、筋力の『基本ステータス』がCだったのなら、筋力の『スキルステータス』は、五〇となります。


 これに潜在能力の『基本ステータス値』を、直接足したのが『最終スキルステータス』となります。


 たとえば、筋力の『基本ステータス』が、『Bで一五』。


 潜在能力の『基本ステータス』が『Aで一〇』あったとします。


 まず筋力のスキルステータスは『基本ステータス』がBだったので、七〇となります。


 そして潜在能力の『基本ステータス』が一〇なので。


足して、『最終スキルステータス』は『八〇のB+』となるわけです。


 まあ潜在能力は『スキルステータスに、直接たすためのもの』と考えれば、間違いないでしょう」


 なんだか、えらく難しいな。


 俺はこんらんしていた。


「では、ステータスの発表。いってみましょう」

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