第54話
「なんで、セレクターってわかったナノ?」
俺とフェリリは、小声で話す。
「セレクターってなぜか理由もなく、冒険者になりたがる気がするからな」
「あんなに、態度がやる気なさげなのに、ってことナノ? アンニュイ系女子な、だけかもしれないよ?」
「あと、口調もそれっぽいし。まあ、結局そんなやつは、いくらでもいるだろうから勘なんだけどな」
「それにしても、あんな子をいれて戦闘で役にたつナノ?」
「どうだろうな。でもテッシちゃんみたいに、時間帯や戦闘中で性格が変わる、バトルジャンキー系かもしれないし」
「違うナノ! テッシちゃんはサディズムなの!」
「なんでもいいけどな。テッシちゃんには言うなよ? うっかり言っただけだからな」
フェリリと話していると、バタバタと妹が走りよってくる。
「お兄ちゃん助けてよ。あいつ、のらりくらりなんだよー」
「マヤ。俺はあの人を、パーティにいれることにしたから」
「えー」
「ありがとね~」
「そのかわり、ちゃんと戦ってもらいますからね。お名前きいてもよろしいですか?」
「ウェイブだよ~」
「よろしくお願いします」
「よろしく~」
「ステータス鑑定とか、あるんじゃのう」
カゲヤマさんが、冊子をみている。
「やってみますか?」
「ステータス鑑定したら、みんなの前で発表やってくれよ」
「冒険者の初心者は、みんな通る道なんだぜ。へへへ」
ロンゲとスキンヘッドだ。
「なにそれ面白そう。お兄ちゃんやってもいい? 私目立っちゃうかも」
「やりたいならいいぞ。俺は鑑定終わったら、上の売店いってくるから」
「分かった。今のうちにこれをわたしとくね」
「なんだよこれ」
「これは携帯型の魔話器だよ。これでお兄ちゃんといつでも話せるね!」
「なるほど」
なんか監視されてるみたいで、こういうのって正直苦手だけどな。
俺はみんなで、鑑定を受けたあと。
パーティメンバーに断って、冒険者協会の売店に行った。
売店にいくと。
元、三つ編みのお姉さんがいた。
「こんにちは」
「こんにちは。調子はどうですか?」
お姉さんがきく。
「なかなかですね。今日は初クエスト受けることにしました。いよいよ冒険者って感じですね。お姉さんは休憩中ですか?」
「そうですね」
「お疲れ様です。それから、今日はステータス鑑定ってのを、やってみたんです」
「あー、ありますね鑑定。困った人たちがいて、何度注意しても、その発表会みたいのをやるんです。騒いじゃって、ほかの人たちの迷惑だし。本当に困った人たちです」
「そういえば、妹がやるっていって。鑑定書をわたしましたね」
「えっ。まずいですよ……」
「まずかったですかね。さらし者ですか? ステふりのステータス補正があるし、そう低くはないでしょ?」
「だからですよ。セレクターは滅茶苦茶にたかい数字が出るから、怪しまれますよ……」
マジかよ……。
俺は、妹に携帯の魔話器をかけた。
「んー? お兄ちゃん?」
「俺、俺。ステ鑑定の発表会は、中止してくれ」
「もう始まったよー。間に合わないね。じゃ切るねー」
ガチャッ。
なんで切るんだよ! あいつ目立ちたいだけだろ!
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