第53話

「これにするんデスか?」


「これでいいだろ? マヤ」


「う、うん。いいよ」


 俺たちは受付にいき、クエストを受けることをいうと、詳細な説明の紙をもらった。


 なになに。


 正体不明の竜騎士が、塔の狩場を専有してます。


 正体だけでも分かれば、町で注意したり、取引停止ができるんですが……。


 みんな怖くて、できません。


 竜騎士の正体を、暴いてください。


 場所は、ガッツ塔の第十六魔陣ポイント。


 竜騎士は、黒竜にのっています。


 もし、竜騎士が逆ギレしたら危険なので、推奨LV四〇以上。


「ふーむ……、ん? 怖い? この世界の原住民って、無限復活ができるんだろ?」


「怖いものは怖いんじゃないデスか?」


「いま、この世界は熟練の冒険者の大半が、魔族にやられて。その冒険者の復活が優先されて。一般のひとたちの復活は、ムリではないが困難なのじゃ。ガイドブックに書いてあったろう」


「ガイドブックのその記事。読み飛ばしちゃったもんで」


「なにやっとるんじゃ……」


「まあ、俺たちはLV七〇くらいの敵を倒したんだし、大丈夫じゃないか?」


「よゆーだよね。よゆー」


 ポンポン。


 誰かが俺の肩を上に払うように叩く。


 ん? なんだ?


 ポンポン。


 もう一度叩く。


 だれだよっ!


 俺は、その方向にふり向く。


 ぶすっ。誰かの指が、俺のほほに刺さる。


「なんだよマヤ――」


 そう言いかけたが。


 ふり向いた先にいたのは、妹ではなかった。


 腰くらいまである、ボサボサでピンクのロングヘアーの少女だった。


 アームウォーマーをつけている。


「あのさ~。そのクエスト、わたしも目を付けてたんだけどさ~」


 声は魔源クリスタルみたいに、透きとおっている。


 二十歳くらいだろうか。


 どこかでみたことあるな。


 そうだ、初めて冒険者協会支部にきたとき。


 やる気なさそうに、イスに座ってたやつじゃねーか。


「ちょっとちょっと。そのクエはわたしが目を付けたんだからね。別のにしてよ」


「別にわたしは、クエやらなくてもいいんです~。分け前だけ、等分してもらえれば~」


「なに言ってんの? 報酬はぜんぶ、わたしのだからっ」


 おいおい喧嘩するなよ。


 俺はフェリリに手招きで、合図をおくる


「なに? いまマヤちゃんの喧嘩見学で、いそがしいナノよ」


「あいつ、たぶんセレクターだよ。調べてみてくれ」


 フェリリは巻物を開く。


「ほんとナノ、SP+一〇〇〇〇 があるよ」


「だろ? あいつ連れていこうぜ」

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