ステータス発表会と無気力な少女編
第52話
八月三日、二陽十三時半。
宿の食堂で、みんなで今後の話をすることにした。
「これからどうしますか?」
「モンスターをたおして、レベルを上げるんじゃろう?」
「上げた後はどうするんですか? 将来的には」
ひとまず、聞いておきたいな。これは。
「なんじゃ目標の話か。それこそ、ヤキソバ殿が決める話じゃろう」
「俺が決めちゃっていいんですか? みんなは、どうしたいんですか?」
「わしはレベル上がったら、もっと敵の強い町とかに行きたいのう」
「アグレッシブですね」
「わたしもデスね」
〝──大丈夫ですよ、深層心理にインプットされていますから。
みなさん、その時その時におうじて、それなりに世界をすくおうと、なさってくれます──〟
三つ編みのお姉さんが、転生の部屋で言ってたのが、これなのだろうか。
「わたしは今の町でいいかな……。バイトもあるしね」
俺はおどろいた。
いちばん次に進みたがると、おもってたのに。
「もしかして、マヤ。おまえ何か、悩みごとがあるんじゃねーのか?」
「え? どうしてそう思うの? お兄ちゃん」
「いや、なんか朝から話してて、ため息が多いかなって……、そうおもったから」
「そんなことないけど……」
「そっか。なんかあったら言えよ?」
「うん……。わかった」
言ってはみたものの、何かひっかかるな。
「ヤキソバ殿。マヤ殿の気分転換に、クエストとかどうじゃな」
「クエスト? 冒険者協会でうけられるんですか?」
「そうじゃよ」
「じゃあ、食べ終わったら午後いきますか」
―――
八月三日、二陽十五時。
俺たちは、町の冒険者協会支部にきていた。
「さあ、クエストやるナノよ」
「フェリリさん、やる気デスね」
「ある程度クエストやらないと、冒険者証の減税が来月からなくなるナノ」
「そりゃガンバらないとな」
「お兄ちゃんは前世界ではニートだったもんね」
「――違う」
「えっ。何が違うの? お兄ちゃん」
「ニートの定義は三十四歳までだから……。俺は無職だったんだ。それにニートは本人の努力より、社会的、経済的な側面の影響のが、強いとされてるし……」
「でもニートの期間をへて、無職になったんでしょ? もしかして、お兄ちゃん気にしてたの? ごめんね。大丈夫だよ! 私が働いてお兄ちゃんを養ってあげるから!」
「よくわからんけど、この世界は仕事がたくさんあるから、安心じゃぞ」
クエストの概要が書いてある紙が、壁に張りついている。
「切ると呪われる木の伐採……、嫌なお仕事デスねこれ」
「これなんて、いいんじゃないかのう?」
「りゅーきしの討伐。正体不明のりゅーきしが狩場の専有をして、こまってま
す。肉が取れなくて流通ができない。詳しくは受付で。だってさー」
「報酬も多いし、これにするか」
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