第45話

「スクロール、パイロフレイムだけってマジですか……」


「まじまじ、あとわたしは詠唱中はしゃべれないから、はなしかけないでよね。絶対だよ?」


 女性を盾にするのは情けないが、状況が状況なのでしかたない。


 ガーゴイルは中空にて静止し、また何かのマジックを使うそぶりをした。


 それをみて、テッシは俺のまえに立ってふりむく。


「ヤキソバさんはLPが減ってるので、相手のこうげきに気をつけてください。わたしが先にうけます」


「わ、わかった……」


 ガーゴイルの腕から霧が発生し、こちらに向かってくる。


 クラウドシャワー、BP八〇〇〇だったか。


「ブランクキャンセル、減退の呪符じゃ」


 札が、ガーゴイルにはりつく。


「この感じ……、対象はわたしデスね。みんなは下がってください」


 霧はテッシの上に集まり、水の束がおそいかかる。


「ブランクキャンセル、ブレイブヒール! テッシです!」


 テッシは水の束がふると同時に、誰もいない右方向にマジックをはなった。


 マジックは、敵の攻撃がやんだあとに追尾して戻り、テッシの傷をいやす。


 時間差をつくることによって、ブレイブヒールでBPを上げて攻撃をうけつつ、回復したのか。


 ブレイブヒールが先にでると、回復ができず。


 後にでると、BPが上がらない。


 これならちょうどいいな。


「ブランクキャンセル、治癒の護符! テッシ殿」


 テッシは、クラウドシャワーで 二四六七ダメージ。


 テッシは、ブレイブヒールで 五七五かいふく。


 テッシは、治癒の護符で 二四五かいふく。


「二枚おろし! なで切り!」


 俺は時間をかせぐ。


 どうやら、パイロフレイムの詠唱も終わったようだ。


 しかし、ガーゴイルが降りてこない。


「フェリリ、タックルであいつ落とせないか?」


「無茶いうなナノ……」


「これじゃ詠唱の時間かせいでも、仕方ないのう……」


 ガイーゴイルは、詠唱のそぶりをしている。


「またクラウドシャワーか? おいおい、これじゃただのサンドバックじゃないですか」


 そのとき、ガーゴイルの後ろから、電撃球が近づいてきた。


 ガーゴイルが、気がついて逃げようとするが、時すでにおそく。


 電撃球は追尾し、炸裂しガーゴイルは、「ギャウ」という、だしぬけな声をあげ地におちる。


「あれはボイコット町の、魔道砲の電撃球じゃな! チャンスじゃ!」


 マヤさんは、走りよってマジックをはなつ。


「やっとかー、パイロフレイム!」


 炎の柱は、地をはずみガーゴイルをおそう。


 ガーゴイルは、また円形の水の壁『トローフシールド』を生成する。


「便乗して、かいふくしましょうデス。 ブランクキャンセル、ブレイブヒール。 ヤキソバさん」


「ブランクキャンセル、治癒の護符! ヤキソバ殿」


「魔道砲の電撃球 BP一〇〇〇〇 みたいナノね。レンジは超長距離」


 魔道砲の電撃球 ガーゴイルに 二六二〇ダメージ。


 マヤのパイロフレイム ガーゴイルに 二七〇三ダメージ。


 テッシのブレイブヒール ヤキソバに 六八〇回復。


 カゲヤマの治癒の護符 ヤキソバに 三三七回復。


ガーゴイル LV七〇  HP 五九六二/一四〇〇〇 BP六〇〇〇

 ヤキソバ LV一九  HP 三五四三/ 四二九〇 BP二六三〇

 テッシ  LV一九  HP 二〇七三/ 三七二〇 BP二七七〇

 カゲヤマ LV一九  HP 四一〇〇/ 四一〇〇 BP二五〇〇

 マヤ   LV一三  HP 二六四〇/ 二六四〇 BP一一七〇


 よし!


 あと一回くらい、電撃球とパイロフレイムをあてれば――。


 しかし、ガーゴイルをみると何か唱えている。


 いままでよりも、長い詠唱だ。


 なんだ……。


「ガーゴイルのマジックくるよ!

 ウォーターレーザー 

 BP一一〇〇〇 レンジ四 三連携三回攻撃 詠唱時間、三攻防くらい」


 なんだよそれ。


 マヤに向かって、レーザーが放たれる――。


「あぶないデス、ふり下ろし」


 テッシが前に出てうたれる。


 なおも狙うレーザー。


「とりあえず壁じゃ」


 カゲヤマが、前に出てうたれる。


 あと一発、俺が壁になるっきゃねーか。


「くそっ、二枚おろし!」


 俺は、前に出て放水をうける。


 よろめいて、腰をおとす俺。


 魔卓からおくられた、視界の表示をみる。


 ガーゴイルのウォーターレーザー テッシに 五三七〇ダメージ。


 ガーゴイルのウォーターレーザー カゲヤマに 六八四〇ダメージ。


 ガーゴイルのウォーターレーザー ヤキソバに 四八三七ダメージ。


ガーゴイル LV七〇  HP 五九六二/一四〇〇〇 BP六〇〇〇

 ヤキソバ LV一九  HP    〇/ 四二九〇 BP二六三〇

 テッシ  LV一九  HP    〇/ 三七二〇 BP二七七〇

 カゲヤマ LV一九  HP    〇/ 四一〇〇 BP二五〇〇

 マヤ   LV一三  HP 二六四〇/ 二六四〇 BP一一七〇


 えっ。


 ガーゴイルは、マジックを放ったあと。


 なおも、ウォーターレーザーらしき、長い詠唱を唱えている。


 俺は、周りを見回すが。


 電撃球は、来てはいなかった。

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