第35話

 一行は、洞窟をあるいていく。


 とちゅう何回か、スケルトンとも戦いながらすすんでいく。


 すると、何か鉱石の発光に照らされみえた。


「なんだ?」


 近づくと、それは木製のカンバンだった。


「この先、ドワーフの町って書いてあるのう」


 カゲヤマさんは、カンバンに顔を近づけて読む。


「町があるのか、しかし道がふさがれていたことに、気がつかなかったんですかね」


「ドワーフの人たち、誰も出入りしなかったんじゃない?」


 フェリリが、腕を頭のうしろに組んでいう。


 誰も出入りしない、なんかちょっと前世をおもいだすな。


「ドワーフって、どんな人たちなんですかね?」


「ドワーフは、とっても友好な人たちみたいなの」


 フェリリが、巻物でしらべながらいう。


 カンバンもウェルカムな感じだし、そうなんだろうな。


「それなら行きますか?」


「さんせいデス」


 俺たちは、ドワーフの町に向かうことにした。


 そのうち道幅は、だんだんと狭くなり。


 二人がなんとか、ならんで歩けるくらいの幅になる


「結構あるくなあ」


「わしはもう、へとへとじゃ」


「ちょっと休んでいきますか?」


「そうするかのう」


 カゲヤマさんは、手ごろな岩を見つけてそれに腰かけた。


 俺はなんの気なしに、ドワーフのほうをみる。


 すると通路の奥から、青白い炎につつまれた幽霊船がやってくるではないか。


「マジかよ」


 俺は絶望した。


 このせまい通路ではすれちがうことも、かなわないだろう。


「ここまできて、戻れるかよ」


 俺は、幽霊船につっこんでいった。


 しかし、青白い炎にはばまれる。


 くっそー、近づけない。


 しかし、ぶよぶよしてるなこれ。


 腕や剣は入るし、いっそ剣を投げちまうか?


 いや、取りにいけなくなる可能性が高い。


「ヤキソバさん! ぶっ叩きでヤキソバさんをふっとばします!」


 テッシは、ヘビー棒をもって走ってくる。


 え?


 本気かよ。


 しかし、棒は俺に当たる前にはじかれる。


「パーティだから当たらないみたいじゃのう。戦闘がおこったからパーティはずれることもできんし、どうしたもんかのう」


「そうだ、シルバーソードの飛び込み切りが、あったじゃねーか」


 俺は幽霊船にむかって、飛びこみ切りをはなった。


「飛びこみ切り! ダッシュ!」


 しかし、障壁にはばまれ、そして幽霊船に砲撃される。


「なんで入れないんだよ、BPは足りてるだろ」


「『ダッシュ』&『スラッシュ』の『スラッシュ』のときに、BPが上がってるんじゃない?」


 フェリリがいう。


 それか?


「カゲヤマさん! これってダッシュとスラッシュって、逆にしたりできるんですか?」


「わからんのう、すまんのじゃ」


 俺は、幽霊船の砲撃をうけつづける。


 とりあえず、やってみるか。


「飛びこみ切り! スラッシュ!」


 とうぜん、攻撃は空ぶりに終わる。


「そしてダッシュだ!」


 俺の体を少しうき、地面に土けむりが巻きあがり、前に向かってすべるように進んでいく。


 すると、あっさり障壁をつき抜ける。


「入れたのう」


 幽霊船も進入されて、おどろいてるのだろうか?


 表情がわからないからな。


 というか、意思みたいなものが本当にあるのかが、いまだに疑問だ。


 炎の中はぶよぶよとした触感が体をつつむ。


 若干まぶしいから、早くたおして出よう。


「ブランクキャンセル、減退の呪符、幽霊船じゃ」


 札はとんでいき、幽霊船にはりつく。


「二枚おろしだ!」


 BP一九二〇 から BP二九二〇 にあがる。


 攻撃はマストを切りさく。


 一三一五 ダメージ。


「なで切り」


 攻撃は船体にあたる。


 木片をまきちらす幽霊船。


 七一六 ダメージ。


 よし! たおした。


 幽霊船はどさりと地に落ちると、青白い炎のなかで赤いほのおを出し燃える。


 やがて全体を黒化し。


 地面に沈みこむように、下の方からほこりと化し、消えていった。


「中にはいってしまえば、BPが基準値以下になっても、外に押しだされるようなことはないみたいですね」


「そうみたいデスね」


 俺はひと息つく。


「それにしても、こいつは結晶化しないんですね」


「こいつは生物じゃないみたいじゃからかのう。二枚おろしは多分生物の結晶化だと思うのう。だからこいつには効果がうすいんじゃ」


 幽霊だからなのか、船体で無機物だからなのか、どっちかわからねえ……。


 スケルトンが結晶化してないところをみると、そっち系はだめっぽいな。


「では先にすすむかのう、だいぶ休んだから大丈夫じゃ」


「いきましょうデス」


 俺たちは、洞窟をすすんでいく。


 ほどなくして、正面に大きな明かりがみえてきた。


「ドワーフの町みたいなの、一番のりなの」


 フェリリが飛んでいく。


 それを遠目に、歩をすすめると。


 巨大空洞が出現し、足元のがけの下、ドワーフの町が眼前に姿をあらわした。

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