初めてのパーティ編

第28話

 よく寝たなー。


 俺は背伸びをする。


 八月二日、一陽六時半。


 洗面所にいくと、パジャマのカゲヤマさんがいた。


「おはようっす」


「おはようじゃ」


「巫女服じゃないんですね」


「そりゃそうじゃろう、これは三階の商店で買ったんじゃ」


「似合ってますよ」


「どうもじゃ」


 俺とカゲヤマは、歯を磨きながら喋る。


 カゲヤマは、青い水玉のパジャマを着ている。


 カチューシャは付けずに、長い髪の先端も纏めていない。


 こうしてみると、やはりカゲヤマさん小さいな。


 百四十センチくらいだからな。


「テッシちゃんは起きてるんですか?」


 あの子は、なんとなく目覚めが悪そうだ。


「テッシ殿は『なんであんなこと言っちゃったんだろうデス』などとしきりにいっておって、布団から出てこないんじゃ」


「そうなんですか。テッシちゃんは昨日は大活躍でしたから、気にしないで欲しいですね。そのように、伝えてもらってよろしいですか?」


「わかったんじゃ」


 二人のブラッシングの音が響きわたる。


「ところで――」


 カゲヤマさんが、コップで水を口に含んで吐き出す。


「おぬしにひとつ、言っときたいことがあるんじゃが」


「なんでしょう」


 俺は水を口に含む。


「わしは十七歳なんじゃが」


 ブーーーーーーッ。


 下に思いっきり水を噴出した。


 ゴホッ、ゴホッ。


「すまん、大丈夫か? 気にしてるのであまり驚かないで欲しいんじゃが」


「大丈夫で――ゴホゴホッ、それに驚いてませんゴホッ」


「ほんとに大丈夫かのう」


 カゲヤマさんは、蛇口にかがんで丸まった俺の背中をさする。


 この人って、セブンティーンだったのかよ。


 俺はむせ返り続ける。


「ゴホッ、お昼になったら、三人で今後について話をしましょう。一二時前に魔話器の内線で、連絡入れますからゴホ」


「了解なのじゃ」


 そういうと、カゲヤマさんは部屋に戻っていく。


 その後ろ姿をみながらも、まだ信じられなかった。

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