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「アレね。二人じゃ無理だわ。仲間を募集しましょう!」
街に帰還した俺達は、真っ先に大衆浴場に行って汚れを落とし、冒険者ギルドにてカエルもも肉の唐揚げを食い、作戦会議をしていた。
ここ冒険者ギルドは、冒険者達の待ち合わせや溜まり場としても使われていて、討伐したモンスターの買い取りと、モンスター料理が売りの大きな酒場が併設されている。
今日はカエル二匹の肉が手に入ったので、ギルドへカエル肉を売り、そこそこの小遣いになった。
あんな巨大なカエルは、とても俺達二人じゃ運べない。
だけどギルドの人に頼むと、倒したモンスターの移送サービスを行ってくれるそうだ。
カエル一匹の引き取り価格は、移送サービス込みで五千エリス。
ハッキリ言って、土木作業のバイトの給料と稼ぎがあまり変わらないことが分かった。
しかし、ちょっと硬いがカエルの唐揚げが意外にイケるのが驚いた。
この世界に来た当初はトカゲやカエルに抵抗があったが、定食として出され、食べてみると意外と美味い物が多い。
目の前の女神は、どんな食べ物でも一切の躊躇なくモリモリ食べていたが。
「でもなあ……。仲間ったって駆け出しでロクな装備もない俺達と、パーティー組んでくれる奴なんかいると思うか?」
口一杯にカエルのもも肉を頰張ったアクアは、手にしたフォークを左右に振った。
「ふぉのわたひがいるんだはら、なかああんて」
「飲み込め。飲み込んでから喋れ」
口の中の物をゴクリと飲み込み、
「この私がいるんだから、仲間なんて募集かければすぐよ。なにせ、私は最上級職のアークプリーストよ? あらゆる回復魔法が使えるし、補助魔法に毒や麻痺なんかの治癒、蘇生だってお手の物。どこのパーティーも喉から手が出るぐらい欲しいに決まってるじゃない。カズマのせいで地上に墜とされ、本来の力からは程遠い状態とはいえ、仮にも女が……、コホンッ! このアクア様よ? ちょろっと募集かければ『お願いですから連れてってください』って輩が山ほどいるわ! 分かったら、カエルの唐揚げもう一つよこしなさいよ!」
と言って、俺の皿から唐揚げを奪い取る自称女神を、俺は不安気に眺めていた。
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