22. みれにん攻略クロニクル
『21. 国産RPG二台巨頭と溢れ出す中二病』で採り上げた『ドラクエ』ですが、やはりよく取り沙汰されるのが『ふっかつのじゅもん』の存在。
『I』と『II』のみにある、ゲームの進行状況をパスワードにより保存・再開できる機能ですね。『III』からは『ぼうけんのしょ』――こちらはバッテリーによりメモリーの状態を保存しておける機能です――が搭載されたため、『ふっかつのじゅもん』はその役割を終えました。
ただ、その世界観をうまいこと利用した秀逸なネーミングセンスや、ひらがなによるパスワードのため書き写した文字が汚いとパスワードの間違いが発生しやすいという鬼仕様のため、『ふっかつのじゅもん』の存在は多くのゲーマーの心に深く刻み込まれ、今もその名前を聞くだけで複雑な気持ちになる方は多いのではないかと思います。
パスワードのネーミングセンスという点では、私としてはハドソンの『桃太郎伝説』も挙げておきたいところですね。『桃太郎電鉄』シリーズが有名すぎてこっちを知らないという方も多いのではないかと思いますが、『伝説』が元祖なのですよ。ジャンルはRPG、かつ割と昔の作品なので、やはりこちらもコンティニュー方式はパスワードです。神社に行きパスワードを聞くのですが、その呼び名は『天の声』。これに関してはおそらくハドソンも気に入っていたのか、PCエンジン用の外部記憶装置の名前にも使われておりました。
さて、昔はそういったゲーム再開のためのパスワードを保存しておかなければならなかったわけですが、みなさんはどう保存していたのでしょうか。
私は、ノートを一冊用意して、それに書き写しておりました。
最初のうちはパスワードを書き写すのみのものだったのですが、使っているうちに、「あれ、これにゲームの内容メモっていけば攻略本になるんじゃね?」と思い、気づいたことや重要そうなキャラクターの発言、ダンジョンでのマッピング等を書き留めていくようになりました。オリジナルの攻略ノートの誕生ですね。
今はすでに手元にそのノートがないのでうろ覚えですが、アドベンチャーゲーム系で非常に役に立ったような気がします。
特に覚えているタイトルとしては、任天堂の『ふぁみこんむかし話 遊遊記』ですね。FDSのふぁみこんむかし話シリーズは『新・鬼ヶ島』が有名かと思いますが、こちらも面白いんですよ……? みなさんご存知の中国の昔話『西遊記』をベースにしつつ、ギャグやパロディ満載で主人公『悟空』とヒロイン『ちゃお』の成長と恋愛模様を描いた作品です。
難易度はそこまで高くはないのですが、コマンド選択式アドベンチャーゲームのため、割とはまってしまうポイントというのは存在しています。元々そんなに攻略本やゲーム雑誌を買うほうではなかったため、自力で解くことが多かった私。解決のポイントが見つかればそれを書き留めておいて、後日再プレイするときに利用する、となるわけです。
あと他には、ナムコの『ワギャンランド』シリーズの『しりとり』なんかでも助けになりました。
このシリーズの基本的なゲームの流れは、通常ステージはアクションで進むのですが、ステージの最後にいるボスとの戦いは頭を使ったミニゲームでの勝負となります。その中の一つの『しりとり』ですが、絵の描かれたパネルが並んでおり、その絵の読み方でしりとりをする、というもの。
この絵というのがくせもので、モノによっては読み方がいろいろ考えられるわけです。例えば、トラックの絵が描いてあったとして、普通に読ませれば「トラック」なのですが、「2トン車」と読ませることもできたり。そういった特殊な読み方もいろいろ覚えておかなければ、後半のしりとり戦は厳しいものになっていくわけです。なので、新しい読み方を覚えるたびに、攻略ノートに書き留めていったのでした。
このように、攻略本に頼らずに自分で攻略していく楽しみというものを昔から知っていたわけですが、スーパーファミコン時代になってくると難易度の上昇やボリュームの増大からそうも言ってられないものも出てきました。
特に屈服せざるを得なかったタイトルは、任天堂の『スーパーメトロイド』。
ただクリアするだけであれば問題ありません。とりあえず一度目は攻略本に頼らずに自力でなんとかクリアしました。しかし、問題は真のエンディングの存在。『メトロイド』シリーズ恒例ではあるのですが、3時間未満でクリアすると主人公『サムス・アラン』がパワードスーツを脱ぐ、という隠しフィーチャーが存在するのです。自力クリアはいけましたが、確かクリアタイムは5時間近く。マップが広大すぎるので、アイテムの隠し場所をメモしておくのが難しく、さすがにそこは攻略本を頼ってしまいました……。
しかし、激ムズ難易度のタイトルを、完全にではないにせよ自力でクリアできたというのは割と自信につながるものですね。そのおかげで、どんな難しいタイトルに当たっても、まずは自分で試行錯誤して苦労する楽しみ方ができるようになったのではないかなと思います。そしてそれは、ゲームのみならず日常生活にも通じているのではないかと私は思っております。
このエッセイでお話させていただいているとおり、昔からゲームばかりやってきている私ですが、一応それなりに進学したり就職したりできて……ああ、大学はちょっと中退しちゃったりしましたけど、まあそんなこともありますよね。今ではIT関連のお仕事をさせていただいておりますが、問題解決への取り組み方の根本はゲームから教わったのではないかなと思っております。問題が発生したらまずは自分で考え、足りない部分を調べて補う。簡単に言うとこれの繰り返しですね。私のゲーム攻略のスタイルと同じです。
昔ほどではないにせよ、未だに「ゲームは害悪」という風潮は多少なりともあるのではないかと思います。そうですね、場合によってはそういう側面もあるかもしれない、そう思います。場合によっては、と言ったのには理由があります。それは遊び方によって大きく変わってくるのではないかと私は思うからです。
よく聞くフレーズにこのようなものがあります。「暇潰しにゲームをする」と。おそらくこれが害悪となるほうのゲームのプレイ方法なのではないでしょうか。
……んー、ちょっとこれだけだと伝え切れていないような気がしますね。暇潰しにゲームをするのはそこまで悪くはないのでしょうが、それが常態化してしまうのが良くないのではないかと思います。きっかけとしては暇だからゲームを始めた、でいいと思います。しかしそれを長く続けてはいけない、メリハリをつけてプレイしたほうが良い。そしてプレイするからには惰性ではなく、何かしらを考えながらプレイするのが良い。これができるかどうかで、ゲームが害悪なのかどうかが決まってくるのではないか、と私は考えます。このようにプレイできるのであれば、ゲームをプレイすることがプラスに働く、とまで考えております。
相変わらず要領を得ない話の流れになってしまいましたが、要するに「自分で考えて遊べばゲームはもっと楽しいし成長にもつながるよ! ほら正当化できたよ! だからもっとゲームをプレイしたいな!」ということです。
最近はそもそも暇潰しにゲーム、というよりも、ゲームをするための時間を作る、というくらいに忙しかったりして、そこがまた一回のプレイに対しての本気度を増大させられたりするんですよね。
仕事の帰り道での電車の車内、今日はどいつを攻略してやろうか……『ゴ魔乙』でハイスコアを狙おうか、それとも『MGS』を少しでも進めてやろうか、と考え出します。そもそも自分のゲームをどれから進めるのがいいのかと考えるあたりも攻略の一部になってしまっているあたり、もう完全にダメな感じはしますね。自分のゲームライフを攻略している感じで。
私は一生かかっても攻略しきれないゲームにはまってしまったのでしょう。いいでしょう、どこまでもやってやりましょう。古いゲームも、新しいゲームも、幸いなことにネタ切れなどするはずもないほどの数のゲームが待っています。どれだけ楽しめるか、勝負です。
余談ですが、私は攻略本が嫌いなわけではありません。むしろ好きです。
でも、攻略本を買うタイミングというのが、先に話した通り『自力攻略に行き詰ったとき』と、もう一つ『まったくプレイしたことのないとき』がありました。
後者はもしかしたら不思議に思われる方もいるかもしれません。まあ、そうですよね、攻略本というのは普通はゲームを攻略するための本なのですから。
でもなぜか私は、まったくプレイしたことのないゲームの攻略本を買ってきて、それをひたすら読むだけで楽しむ、ということをしておりました。特にお気に入りだったのは、ケイブンシャの大百科シリーズでした。このシリーズは、攻略というよりもむしろストーリー紹介のマンガやちょっとしたコラムが充実していて、単純に読み物として楽しかったのです。
思い返してみると、小学生頃のことですからそんなにたくさんソフトが買えるわけではなかったわけで、少しでも安くゲームを楽しみたい、というか、楽しんだつもりでもいいからなりたい、と思っていたのではないかなと。
案外その当時攻略本を読んでいただけのゲームが未だに心に残っていたりして、つい最近になって初プレイしクリアまでいってみた、ということもありました。直近のものを挙げると、東芝EMIの『ハイドライド・スペシャル』ですね。
これもまたコンティニュー方式がパスワードだったのですが、今となってはスマホで画面写真を撮りEvernoteに保存、みたいに楽にノートを取れるようになりましたね。しかし、電子化したりはしたものの、私の攻略ノートは続くのでした。
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