16. 愛を込めてレトロゲーム小説を

 『15. 君の声が聴きたくて』で触れましたが、私は同人イベントに参加することで小説を書き始めました。

 その書き始めの頃を思い出し、ということを自分の中で再認識できたので、今回お話させていただこうと思います。


 2010年頃から『コミックマーケット』への参加申し込みをやり始め、何度かの落選を経た後、2011年夏開催時にサークル参加できることになりました。

 その時に申請していた内容が『レトロゲームに関する本』だったのです。それまでは『グッズ』や『創作』とかで申請していたというのに、です。落選続きだったので、とにかく一度は参加してみたいからとやけくそになってニッチなジャンルに転換したのが功を奏したのでしょうか。もともとレトロゲームは好きではあったのですが、とにかく、レトロゲームについて何かを書くというのはそんな偶然から始まったのでした。

 さて、当選してしまった! 何を書こうか!? と私を含めたサークルメンバーは大慌てです。


 ――とりあえずみんな絵は書けない。じゃあ文章しかないな。

 ――レビュー? 小説?

 ――とりあえずお題決めてそれぞれ書いてみようか。

 ――お祭りみたいなものだし、どうせやるんならインパクト強そうなお題がいいんじゃない? 『レトロゲームで恋愛小説』とか。

 ――それだ!


 これもまた適当に決まってしまいました。

 このとき、小説を書いたことがある人はメンバー三人中一人。

 書いたことがない二人のうちの一人も学生時代は文学系の学部だったので、割と抵抗なし。

 問題は残った一人。学生時代は情報系の学部で、読むのは好きだが書くということはまったく考えたことがない。そう、私です。

 私は本当に困りました。


 他の二人は、『忍者じゃじゃ丸くん』『タントアール』とそれぞれ題材を決めて、二次創作で書くことにしました。

 ――うーん、二人とも二次創作か……。私は『マーブルマッドネス』で書いてみたいんだけどな。そうすると二次創作というのも無茶な話だ。というかそもそも、ちょっと考え直してみよう。私はレトロゲームが好き、というか、が好き、なんだろうなあ。それを伝えるのであれば、ゲームの内容よりも、ゲームで遊んでいる様子を描くのが筋なのではなかろうか……!

 私の進む道はここで定まりました。まさかそのまま5年以上も進み続けるとは知らずに。


 そうと決まればあとはひたすら突き進むのみでした。

 都内で『マーブルマッドネス』が設置されているゲームセンターを探し、仕事帰りに何度か立ち寄りひたすらプレイ。プレイすることで思い出される昔の記憶。自分に足りないプレイはネットのプレイ動画を見ての勉強。

 とそこまで突っ走って気づきました。あ、って言ってたっけ、と。

 いやいや問題ない! そんなにゲームが好きなら筐体に恋しちゃえばいいじゃない! 筐体を擬人化すればなんの問題もないよねっ! 敵キャラで箒が出てくるんだからお掃除好きのメイドさんでっ!!


 ……そんなノリで、私の処女作『2011年のマーブルマッドネス』という短編小説が生み出されたのでした。

 その昔、高校時代に行きつけの地下のゲーセンでひっそりとたたずんでいたアタリの『マーブルマッドネス』。店舗改装でいなくなってしまったのことを思いながら書いていくのは楽しいものでした。

 そしてたぶん私の小説の肝になっているであろう、ゲームプレイのシーン。ゲーム画面と、それに合わせての周囲の人の反応の描写には特に力を入れて書くように心がけました。これによって、少しでも紹介しているゲームに興味を持ってプレイしてみたいと思ってもらえれば……という思いで書いておりました。


 その気持ちは、現在執筆する際も変わらず続いております。

 偶然から始まったとはいえ、レトロゲームで遊ぶということを小説という形で広めたいというこの思い。ちょっと変わった小説ですが、みなさまに楽しさを伝えられるよう、今後も私自身でも楽しみながら続けていけたらなあと思います。




 ちなみに、レトロゲームテキスト同人サークル『オメガωテイルズ』メンバー内で現在最も作品を書いているメンバーは私ということになってしまいました。

 自分で言うのも何ですが、レトロゲーム愛が重すぎますね。

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