15. 君の声が聴きたくて

 ノベルゲームとは。

 チュンソフトの『弟切草』『かまいたちの夜』『街』からとして広まり、そのサウンドと映像とテキスト主体の表現で選択肢によるストーリーの分岐を楽しむものがとして認識されるようになりました。

 やがて美少女ゲームにもその形式が採り入れられるようになり、Leafの『雫』『痕』『To Heart』のが人気を博します。あ、呼び名が違うだけで、結局はノベルゲームです。この頃以降の美少女ゲームといえば、表現の多少の差異はあれど、ほとんどがこのの形式に則ったものとなりました。

 そして90年代末あたりからでしょうか、声優によるキャラクターボイスCVが収録される美少女ゲームが増え始め、キャラクターたちがしゃべり始めるようになります。その後2000年代半ば過ぎ頃までには大半のにはCVが収録され、どんなゲームでもかわいいボイスが聴けるようになっていきました。


 私は、このCVというのがあまり好きではありませんでした。あ、は好きでしたよ。CVというのが苦手なだけで。

 実際、初めてCVありでプレイした美少女ノベルゲーム――純粋にノベルではないのですが――はLeafの『こみっくパーティー』でしたが、キャラクターがしゃべったことにより何故だかやる気をなくし、とりあえずメインヒロインを一人攻略したっきりで積みゲーと化してしまいました。そして同時期に購入したCVなし美少女ノベルゲームである、アボガドパワーズの『終末の過ごし方』やKeyの『Kanon』の方にはまっていったのです。

 

 不思議ですよね、アニメやラジオドラマなんかは普通に聴いているのに、ゲームがしゃべると気持ちが萎えるなんて……と思ったのですが、今考え直してみるとなんとなくわかるような気もします。

 おそらく、それらのゲームはという形式だったから良くなかったのかな、と。

 それまでそこそこ小説も読んできて、でしたから。

 じゃあ映像や音楽、効果音は? となるのですが、それはまた別の話です。なぜなら、です。


 まあここまではなんとか説明がついた気がします。が、問題はこのあとです。

 その後も私がはまる美少女ゲームといえば、Leafの『まじかる☆アンティーク』、Keyの『AIR』『CLANNAD』、TYPE-MOONの『月姫』『Fate/stay night』など、どれを挙げてもCVなしのものばかりでした。シーズウェアの『蜜柑』なんかはボイスがあったみたいなのですがまったく覚えていないので、もしかしたらボイスをオフにしてプレイしていたのかもしれません。

 そんな中、とある一本のソフトが私の前に現れました。

 それは、ねこねこソフトの『サナララ』。

 パソコンソフトショップに行ったとき、一緒に来ていた友人がこのソフトを持ってきてこう言ったのです。「みれにんこれ絶対好きでしょ」と。

 パッケージをまじまじと見つめてみると、メインヒロインらしき二人の絵が描かれており、その絵の愛らしさに衝撃を受けました。

 ――こ、これは間違いない! 絶対にはまる! この絵はツボすぎる! はまらないわけがない!!

 確信し、即購入、即帰宅、即インストール。

 どうやらオムニバス形式になっているようで、一話目がパッケージに描かれていたうちの一人、黒髪ショートカットのという子の話だとのこと。

 プレイ開始。すぐにのぞみ登場。

 ―― か、かわいい。ちょうかわいい。だが、しゃべる? しゃべるの?

 ――おどおどとしゃべったー!! なんかすごく、いい? いいよ!!

 もうなんかかわいさのあまり、この瞬間、私の頭の中でなにかが吹っ飛んだのかもしれません。

 ……突然ですがこれ以降、まるで今まで自然にそうしていたかのように、CVありのノベルゲームを楽しむことができるようになったのです。

 本当に、コレに関してはまったくもって説明不可能です、ごめんなさいっ!

 とりあえず、名前だけでもつけておきますか。『サナララショック』みたいな。


 まあそれでも少しは後遺症(?)がありまして、CVの音量は音楽より小さめにしておかないと落ち着かないことがあるのです。やはり基本的には目立ってほしくないのでしょうか……いやいや、のぞみ先生の声ならいくらでも!! いくらでも聴かせてー!!

 うーん……絵とCVの相乗効果とかなんですかねえ? それとものぞみ先生の声優さんが上手うますぎた?

 やっぱり自分でも未だに理解不能です……。




 ちなみに『サナララ』は、私的にはボイスだけではなく絵のほうからもレボリューション革命を起こしてくれてしまいました。

 パッケージに描かれていた二人の原画を担当していたのは藤宮アプリ先生。そのであるという、絵柄がそっくりの蒼樹うめ先生を追いかけてコミックマーケットコミケに行くようになり、そのうち自分でも同人誌を出してみたくなり、ついにゲーム系小説で同人誌デビューする、というところまでに至ってしまうのでした。

 ノベルゲームのお話からCVのお話になり、最終的にまた小説のお話に戻ることができるとは、さすが『サナララショック』。

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