13. Brand-new Gameが私を成長させる(後編)
さて、幸せなMS-DOS時代もそう長くは続きませんでした。1995年11月23日、奇しくも私の誕生日にそいつはやってきました。『Windows95』という名の黒船が。
始めのうちはまだ何事もなく過ごしておりましたが、1996~1997年あたりになってくると状況が一変します。
PCゲームのほとんどがWindows95専用となっていったのです。
せめてWindows3.1対応ならそのままでも遊べたというのに、これではまったく新作ゲームを遊べません……。
そもそも、HDDの容量が170MBと少なすぎるので、外部磁気ディスクとして『Zipドライブ』――一枚あたり100MBという大容量と高速アクセスを誇るフロッピーディスクです――をSCSI接続で利用したりしてなんとかやりくりしていたのですが、Windows95をインストールするとなるとさらに本体のHDD空き容量に余裕がなくなる……。
メモリとグラフィックボードは拡張済みなのでこっちの心配はなさそうだ、となるとやはりてこ入れが必要なのはHDD。
そんな折にたまたまパソコンパーツのフリーマーケットのようなものが開催されていると小耳に挟んだのでふらっと行ってみると、中古の1GBのHDDが格安で売られているではないですか。即決、購入です。
HDDの換装なんてやったことはなかったのですが、まあ付け替えてOSインストールしなおせばいいんだろうと軽い気持ちでやってみました。まあ確かにそれは間違いない考えではあったのですが、無事換装し電源を入れインストールを進めると……ん、なんか容量が少ない? 504MB? なんで?
そりゃ焦りましたね。せっかく1GBの大容量HDDを買ったというのに、半分しか認識されていないなんて。
当時のことですから、やはりインターネットなど普及していない時代。今まで買ったPC関連の雑誌や書籍、マニュアル、必死になってすべてを読み返してみました。
情報収集は長いこと続き、そしてついに、一つの真実にたどりつきました。今となってはどこから得た情報なのかはっきり覚えていませんが、それは……内蔵HDD接続に利用されているIDE接続がエンハンスドIDEに対応していないという問題でした。対応していない場合、504MB以上の容量が認識されないというのです。
――う、うーん? ハード的に対応してないってこと? ここまでなの……? もう、ゴールしていいよね?(当時まだ発売してないからっ)
半分あきらめつつ、でも何かないかと『フリーソフト&シェアウェアPACK』のソフト一覧を眺めていたら……あっ、ああ、これ……!?
慌ててCD-ROMからファイルをコピーし解凍、
MS-DOSの起動をじっと待ちます。やがて画面にはゆっくりと、「これはシェアウェアです。お金を払えばこのメッセージは消えます」という内容のメッセージが表示されました。恐る恐るReturnキーを叩くと、いつものWindows3.1の起動画面が。
――動いたっ。じゃ、HDDは……?
一旦Windowsを終了しDOSプロンプト画面へ戻ります。そしてコマンドを叩きHDDのパーティショニングツールで認識状態を確認。……おっ、おおっ、認識してるっ! 1GBすべて!!
たまたま見つけたそのシェアウェア、それは、IDEの504MBの壁を越えるというなんとも怪しいツール。タイトルは忘れました。意外とそんなことまでできちゃうんですね……。
こうして、私とマルチたんはまた一つ成長したのでした。
とまあ、このあとはWindows95を入手しインストール、無事Brand-new Gameを楽しめちゃう、となったわけですが、最後にオチが待っていました。
CPUスペックを思い出してください。『i486SX 25MHz』でしたね。
1997年くらいになると、すでにCPUはPentiumの時代。ゲームの推奨動作環境も『Pentium 100MHz以上』なんていうタイトルも普通になっておりました。
推奨CPUの四分の一の速さのCPUで処理はカックカク。まあそれでもノベル系のゲームなんかは画面切替を気長に待てばなんとかプレイできる状況ではあったので、ディスクシステムで鍛えられた私のロード待ちスキルが遺憾なく発揮されたのでした……。
あ、あの、今回のタイトルとかあまり詮索しないでくださいね……年齢的なアレとか……。
ちなみに、マルチたんマルチたん言ってますが、私はメイドロボットよりも幼なじみのほうが好きですっ!
……これも深くは詮索しないほうがいいですよ。
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