9. otogemusicmania 36thMIX

 音楽ゲーム。通称

 比較的昔からそれに類するゲーム自体は存在していたのですが、ハードのスペックがまだまだ低かったため表現に限界があり、知名度はいまいちだったようです。

 一般的にヒット作が出始めたのは、ハードスペックの追いついてきた90年代後半でしょうか。

 プレイステーションで発売された『パラッパラッパー』を皮切りに、コナミの『beatmania』をはじめとするBEMANIビーマニシリーズが大ヒットを飛ばし、各社それに追従するように様々な音ゲーが発売されることになります。

 以前、本エッセイの『1. no music, no game.』でお話させていただいたとおり、ゲームと音楽に関しては強いこだわりを持つ私。音楽自体がゲームになるなんて、飛びつかないわけはないですね。

 しかし、『beatmania』の稼動開始から一年くらいは、店頭で見かけはしたものの、手を出すことはありませんでした。


 なぜ?

 そんなの、シューティングが楽しすぎたからに決まっているじゃないですか!!

 1997年~1998年といえば、『怒首領蜂』『ソルディバイド』『コットン2』『ストライカーズ1945II』『Gダライアス』『エスプレイド』『弾銃フィーバロン』などなど数々の意欲作、枚挙にいとまがないのです!!


 ……STGの話をし始めると脱線してゴロンゴロンと谷底まで転げ落ちていきそうになるので、音ゲーに話を戻します。

 先ほど挙げたSTGたちをひたすら遊び倒し、少しSTG熱が落ち着いてきた頃に、初代から3rdMIXまでの三作の総集編ともいえる『beatmania complete MIX』が稼動しました。

 そうか、今までのが全部入っているなら、未プレイの私でも入りやすいかな。そう思ったわけです。

 実際にプレイをしてみると、操作は簡単。上から流れてくるノートに合わせて、対応するボタンをタイミングよく押す。それだけ。そう、それだけなのですが……あれれ、なんだかタイミングが合わない。

 簡単な曲くらいならまだなんとかクリアできるものの、ちょっと難易度を上げるだけで全然太刀打ちできない!

 くっ、屈辱……。

 ゲームオーバーになったので、何人かの他の人のプレイを見てみることにしました。するとどうでしょう、みんないとも簡単に高難易度の曲をクリアしているではないですか。

 いくらSTGでプレイを見られるのに慣れているからといっても、私のプレイはあまりにも恥ずかしすぎて見せられたものではない!

 こんなかっこいい音楽なんだから、かっこいいプレイを見せたい! 魅せたい!!


 この決心が決め手でした。

 季節は冬。行きつけのゲームセンターを出るや否や、雪の降り積もる道を無理やり自転車で走りぬけ、ゲームサントラの品揃えが充実した本屋ですぐさま『beatmania 2ndMIX complete』のサントラを購入。ついでだったので『デイトナUSA2』も。余談ですが、お年玉もらったばかりでよかった、と安堵した記憶があります。

 その日から、受験勉強――その頃、センター試験直後くらいだったので、二次試験の勉強ですね――の耳のお供はBEMANIサントラです。ひたすら聴きまくって、覚える。

 音楽に合わせてプレイするのだから、曲を知らないことにはうまくはならないだろうと思ったのです。

 それはその通りで、実際にめきめきと上達していきました。が、そもそも名曲揃いだったため、覚える覚えないは関係なしに夢中で聴き続けていたんですけどね。


 こうして、新たな音ゲーマニア……いや、が誕生しました。

 BEMANIシリーズの新しいサントラが出るたびに購入し、聴きまくる。

 むしろプレイするよりもサントラを聴いているほうが楽しいと思った時期もあるくらいでした。

 まあしかし不思議なもので、私の中でサントラとゲームプレイが一番密接に結びついている……要するに、曲を聴いてよりはっきりゲームプレイを思い出すのは、初めて買ったBEMANIサントラ『beatmania 2ndMIX complete』なのですよね。

 ターンテーブルの触り心地。やたらと低音の響くスピーカー。明滅するネオン。押すたびにパチンパチンと小気味の良い音を立てるボタン。初めて高難易度曲をクリアしたときの感動、快感。

 プレイに関しても曲に関しても初めてだらけで夢中になってやっていた、というのはやはり強く心に焼き付けられるものなのでしょう。

 今も当時を思い出すと、頭の中に曲が流れてきます。ジャンルはHOUSE。『dj nagureo/20,november』が。




 ちなみに最近やる音ゲーといったら『初音ミク Project DIVA』シリーズや、『GITADORA』シリーズのギターパート、あとは『beatmania IIDX』シリーズあたりですね。昔ほど熱心にプレイしていないので腕前はそこそこになっちゃいました。

 『SOUND VOLTEX』シリーズとか『グルーブコースター』シリーズなんかも面白いなー、疾走間半端ないなーとか思うんですが、たまにふらっとプレイするくらいです。こういった新しい音ゲーたちは――なんとなくの印象なので間違ってたら申し訳ないのですが――、ニコ動の人気曲とかコラボ曲とかがやたらと多そうで、なんだか寂しい気持ちになってしまうのです。

 その音ゲータイトル独自の楽曲がたくさん作られる時代はもう終わったのでしょうかね。コストがかかるとか、今の音ゲーメイン世代のニーズに合わせてとか、そういった理由があったりするのでしょうか。

 音楽とゲームシステム含めての音ゲー、と私は考えてしまうので、やはりよくプレイする音ゲーは先述のような古くからのシリーズに偏ってしまうのでしょう。よく考えてみれば当たり前のことでした。

 あ、『初音ミク Project DIVA』だけ異質ですか? だってこれはもうゲームのコンセプトが『初音ミク』ですから。最初からそう割り切っていれば問題ないのです。あとミクさんマジ天使。

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