3. とあるシューターの追憶

 先日、『ケイブ祭り』なるものに参加してきました。

 5年ぶりの開催ということでしたが、私は今回が初参加でした。

 いつもプレイしているスマホシューティング『ゴシックは魔法乙女』がメインのイベントと聞き、たまたまその日は時間もあったため、気軽に足を運んでみました。

 とりあえずステージで今後の動きの発表があるということで聞いてみると、なんと、一発目から『弾銃フィーバロン』のPS4移植決定との発表が! さらには『怒首領蜂大復活』のSteam移植発表まで!

 もちろん、その他『ゴ魔乙』に関する発表等もありましたが、いや、私にとっては大好きな『弾銃フィーバロン』の移植が衝撃的すぎましたね。

 一八年間も家庭版移植がなく、もうやっぱりこれは基板を買うしかないのか……と完全にあきらめていたところでしたから。

 2013年、アーケードやコンシューマーからの撤退を発表したケイブ。

 その報せをを聞いたときは、私は驚き、絶望しました。

 ああ、この先、ケイブの新作シューティングは出ないのだな、と。

 それは杞憂に終わり、スマホアプリという新たなプラットフォームでのケイブの活躍を見ていられるわけですが。

 まだまだケイブはやってくれる。そう思わせてくれたイベントでした。

 ……あ、いろんな意味でです。相変わらず頭おかしい感じも健在でしたし。

 IKD像とか、ブルマ投げとか。


 前述からお察しの通り、私はシューSティングTゲームGが大好物です。

 私とSTGの出会いは、幼稚園児の頃。

 親が借りてきたファミコン版『スターフォース』にはまり、買ってもらったソフトが『スターソルジャー』。高橋名人が16連射で一躍有名になったあれですね。

 しかし、幼稚園児になかなか連射は難しい。どこからかなるものの存在を知り、私は親にねだったのです。

 そんなわがままを通してはいかんと思ったのでしょう。親は一つ条件を出してきました。それは、「まだクリアしていない『スーパーマリオブラザーズ』をクリアできたら連射パッドを買ってやろう」というものでした。おそらく、こんな幼稚園児にはまだまだクリアなどできないだろう、と思ったのでしょう。

 私はそれを聞き、すぐに『スーパーマリオブラザーズ』をプレイし始めました。

 そして、1-2から4-1、4-2から8-1へとワープし、あっさりと8-4をクリア。

 条件を突きつけられたその日のうちに、親に近所のおもちゃ屋へ連れていってもらい、私は念願の連射パッドを手に入れたのでした。

 近年になり、親からその話を聞く機会があったのですが、「あのときは本当に驚いた。うちの子は天才かもしれないと思った」とか。いや、なんか申し訳ない……。


 その後、中学生くらいまでは、人並みにSTGをプレイしていたかなという感じでした。

 『ツインビー』『グラディウス』『パロディウスだ!』等のコナミSTGは、当時のファミコン持ちの小学生にはやはり定番でしたね。

 あとはマンガの影響もあり、スーパーファミコン版『エリア88』にははまりました。最初は普通に最強の機体でのクリアでしたが、やりこんでくると、原作の機体でクリアという縛りを設けたりもしていましたね。

 そんな普通のゲーム好きをシューターへと変貌させた、あるラノベとの出会いがありました。

 それは、『それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』。

 作品内で時折はさまれるゲーム論。基本的な考えとしては、『RPGは悪。アクション、シューティングこそがゲーム』だったかと思います――うろ覚えが気持ち悪いので、完全版で読み直してみようと近頃古本屋を渡り歩き探しています。

 そのとがった考えに私の中二病心はくすぐられ、やがて快感に変わり、完全に毒されてしまったのです。

 そこから、私のシューターとしての歩みが始まりました。


 アーケード筐体などほとんど触ったことがなかった私は、高校入学を機に思い切ってゲームセンターに足を踏み入れてみました。

 もちろん、『ヤマモト・ヨーコ』の主人公の洋子が、ゲーセンでSTGをプレイしていたことへのリスペクトです。

 そこで初めて私の目にとまり、プレイしてみたSTGが、彩京の『戦国ブレード』でした。

 アーケードのSTGというのが、私にとってよほど衝撃的なものだったのでしょう。

 ファミコン、スーファミでは考えられない、いくつもの要素が私を刺激します。

 圧倒的に美麗なグラフィックやサウンド。

 画面一杯に広がる弾の多さ、速さ、処理落ちの無さ。

 巨大かつ凶悪なボス。

 それらをくぐり抜け、撃ち落とす、自機の当たり判定の小ささ。

 こんなにもアーケードSTGというものは違うのかと、一瞬で虜にされてしまいました。

 そこから始まり、彩京、タイトー、ケイブ、カプコン、ADK、などなど、1990年代後半の混沌としたSTGシーンを彩る様々なメーカーのタイトルをプレイしてきました。

 しかし今でも、一番に好きなSTGは? と問われれば、迷いなく『戦国ブレード』と答えますし、好きなメーカーは? と問われれば『彩京』です。

 完全に刷り込まれちゃってます。恐ろしいですね。


 願わくば、『彩京まつり』なるものが開催されんことを!

 いや、叶わぬ願いなのはわかってますよ、わかってます……。

 すでに多くのメーカーは衰退し、ニッチなジャンルであるSTGというものに取り憑かれている以上、シューターというのは悩み多きものなのです。

 優しくしてやってください。お願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る