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「あなたの一番好きなゲームハードはどれか?」

と問われれば、あなたは何と答えますか?

 私は、少し迷い、でも最終的には一つのハードを、自信を持って回答します。

 そのハードの名前は、『ファミリーコンピュータF ディスクDシステムS』。

 ハードというより周辺機器ではないか? という意見もあがりそうですが、私的には一つのハードです。

 ファミコン本体を取り込み、己の意のままに操る新生ハード、FDS。よし、コレです、コレでいきましょう。


 今年三〇周年を迎えるFDS。

 FDSはファミコンに大まかに三つの新たな機能をもたらしました。


 まず一つ目、音源の拡張。

 はいきましたね。またゲームミュージックに話を持っていきます。

 FDSにはFM音源の一種ともいえる拡張音源が搭載されています。

 これによりファミコン単体では出すことができなかった、印象的かつ美麗なサウンドを生み出せるようになりました。

 ローンチタイトルである『ゼルダの伝説』のタイトル画面の荘厳な音楽は、まさにFDSによる新たなゲーム史の始まりを感じさせるものでした。

 ただ、そのすばらしい音楽の出来映えのため、後年FDSタイトルがROMカセットに移植される際の音色の劣化っぷりにがっかりさせられたものです。

 ゲームボーイアドバンスのファミコンミニシリーズで『ゼルダの伝説』が移植された際も、なぜROM版を移植したのかと多少の憤りを感じた記憶があります。

 それほどまでに、FDS拡張音源によるサウンドがすばらしかったのです。


 二つ目、データのセーブ。

 書き込み可能な磁気ディスクのため、データの保存が容易になったのですね。

 しかしこれに関しては、ROMカセットにもバッテリーバックアップ機能が搭載されることにより、アドバンテージとはなりえないこととなりました。

 むしろ保存に時間がかかるディスクのほうが、ユーザーへの負担になる結果となってしまいました。


 最後に三つ目、ソフトの書き換え。

 これも磁気ディスクならではの利点ですね。

 ゲーム売り場に設置された『ディスクライター』と呼ばれる書き換え機。これを利用することで、たったの500円で新しいソフトを手に入れることができたのです。もちろん、書き換えということなので、元々のゲームは上書かれてしまうわけですが。

 とはいえ、少ないお小遣いしか持っていない小学生の私にとって、何千円もするゲームが500円で手に入ってしまうというのは夢のような話でした。

 いつまでもその状況が続けばよかったのですが、ファミコンからスーパーファミコンに世代が交代していくにつれ、店頭からはディスクライターが撤去されていきました。

 それでも、任天堂の営業所にディスクを郵送することで、書き換え対応が継続されていました。

 私自身、スーファミ全盛期にも何度か書き換えサービスを利用し、返送されてきたディスクに同封されていたタイトルリストを眺めながら、次はどれに書き換えようかなとわくわくしていたものです。

 今ではもう郵送による書き換えサービスも終了しておりますが、当時のこういったコンテンツ提供システムが今のダウンロード販売の礎になっているのかもしれませんね。

 結局私は今も変わらず、ダウンロードコンテンツのリストを眺めながらにやにやしていますしね。


 未来に生きすぎていたハード、FDS。

 おそらく私が最も遊んだであろうハード、FDS。

 ファミコンの下でじっと鎮座し、ゆっくりとした速度でディスクを読み書きする様子が今でもありありと思い浮かびます。

 これからどんなゲームハードが出現しても、いつでも脳裏にはFDSが浮かぶことでしょう。

  の文字が表示される限り。




 ちなみに、拙作『レトロゲームと古本屋』でも、テレビの前に置かれているのは基本的にFDSです。それくらい好きです。




 さらに余談ですが、好きなハードの次点としては、『PCエンジンDUO-R』が来ます。

 これについてはまたの機会に語らせていただきましょう。

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