恵美の場合

 そういえば、とふと恵美は考える。

 最後の恋人と別れてからもう7年も経っている。

 その恋人にしても、付き合った期間はたった1年。「忘れられなかった」と言い、元恋人は元カノの所へ還った。その前の恋人なんて、付き合いを始めて2ヶ月後には、自分が浮気相手だったのだと分かった。その前の前の恋人なんて・・・

 挙げ出せばキリがない。いつだって2番手の存在だった。


 「男縁はあるのに男運はないよね」そう言ってきたのは、大学生の頃の凛だったか。あの時にすでにそれを見抜いていたなんて・・と恵美は、ははっとため息混じりに笑った。


 幸いな事に恵美は、一人ならば十分すぎる程の収入と就職先に困らない資格を持っていた。─男なんていらない─ 強がりに取られがちなこの言葉も、恵美にとってはあながち強がりでもなかった。


 「今週末はみんなで集まるから・・木曜までにはあらかた仕事片付けないとな・・」

 カレンダーを見ながらつぶやき、恵美は仕事用のバックにポーチとタバコを入れた。

 ── 集まるのは楽しみだけど ──

 男なんていらない、それも本音だけれど、高校の仲間達に会うのは少々気が重い。


 「結婚してないのも私と由香だけか・・」

 自分で言った言葉に思いの外傷ついた事にビックリし、恵美はそれを振り払うように冷めかけたコーヒーを飲んだ。

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