5-28 タコ足ハポーン、イカ足ジュポーン

 俺の右手には丸い頭をしたタコのぬいぐるみ。そして左手には白い三角頭のイカのぬいぐるみがはめられていた。それぞれ赤い触手が8本、白い触手が10本。デフォルメされた可愛らしい本体には似つかわしくない本物志向のグロテクスさで、ウネウネとうごめいていた。

 タコ足ハポーンとイカ足ジュポーン。秘密の店ティル・ナ・ノーグの店主にして、錬金術師アルケミストのクラスをもつルクレシア・モンキーポッドの自信作である。触手プレイを誰もが安全に愉しむために、というエキセントリックなコンセプトのもとに開発されたこの魔道具は手にはめるだけで自らの指のごとく触手を動かすことができるという優れもので、1本1本が独立可動、しかも、30センチから5メートルまで伸縮自在という触手マニア垂涎のスペックを誇っている。

 じつは俺が不能インポテンツになってから物は試しということで、セシア、ネネとの夜の「治療」に使ってみたことがあるのだが、そのあまりの卑猥さに失禁してしまったネネからダメ出しをされ、一晩で封印したといういわくつきの代物である。だが、いつの日にか再び共に戦えることを夢見て魔力の充填だけは欠かさず、アイテムボックスに忍ばせておいたのが功を奏したというわけだ。魔力の充填といっても一晩水につけておくだけで自然界に存在する魔力を勝手に取りこんでくれるいうエコ仕様だから、たいした労力をかけたわけでもないのだが。偉大なる発明家ルクレシアには感謝感激雨あられである。


「うちは人魚族の力と美の象徴、乙姫や。この名に懸けて、こないなことで膝を折るわけにはいかへん!」


 強がってはいるが、レギンレイヴの脚は震えている。俺の両手から伸びる触手が四肢に巻きつき、そこから敏感な場所へと這いあがって淫靡で執拗な攻撃を繰りかえしているからだ。

 タコの赤い触手は腕にからみつきながら上半身を這いまわり、彼女のやや左右に張りだした乳房をローションをつかって丹念にしぼりあげている。テラテラと輝く柔らかなおっぱいを触手を輪にして締めつけ、隆起した先端を吸盤でチュパッ、チュパッと音を立てながら吸いあげる。イカの白い触手は筋肉の曲線が美しい脚から伸びあがり、引き締まった太ももにローションのあとを引きながらナメクジのように下腹部の奥深くへと潜りこんでいた。触手には硬さがないため、閉ざされた扉を無理矢理こじ開けることはできないが、伸縮自在の柔らかさは先端の太さを小指ほどに変えて、ぬるりと神秘の先へと踏みこんでいくことはできる。

 

「あ、あ、あ、んん。こ、こんなん嘘や。なんでこれくらいのが引きちぎれへんのや。力が、出されん。むう! クッ、あ……あはァ」


 固く閉ざされた扉をノックし、その入口をめくりあがらせ、ぬめぬめとした触手が縦横に蹂躙する。俺の指先には触手の感触がたしかにある。このタコ足ハポーンとイカ足ジュポーンの内部はグローブのような形状をしているのだが、これをはめていると触手の触感が指先へとじかに伝わってくるのだ。いまも赤いタコの触手2本をつかってレギンレイヴの乳房の先端をコリコリといじくりつつ、太ももの先へと侵入した白いイカの触手をドリルをつくる要領で3本まとめてねじりあわせて、ねっとりと湿った秘部をぐりぐりと激しく責めたてている。


「……はァ、ふぅ、アァ!! クッ、これは、媚薬やな。クふぅ、ウはァ!! う、うちはこんなもんには負けへん。こんなもん、可愛い妹分たちの愛撫に比べたら、どうって、こと、ない! あゥ! あ、あ」


 乙姫レギンレイヴはまったく経験がないというわけではないようだが、未体験の感覚と「禁断のローション」の効力によって全身が弛緩し、ついにガクガクと膝を震わせて崩れ落ちた。

 イカの白い触手がローションでつやめいたお尻をぺったんぺったんと吸盤をはりつけながら叩き、割れ目をにゅるんにゅるんと徘徊する。タコの赤い触手も負けじとレギンレイヴの倒れた身体を仰向けにひっくりかえすと、揉みしだかれて赤みを増した乳房をつかんで再びにゅるりと締めあげ、突端をローションで丹念に愛撫した。

 レギンレイヴの固く引き結ばれていた口が快楽にこじあけられ、ゆるんだ隙間から喘ぎ声が漏れだしてくる。抵抗できないよう両手両足に巻きついた紅白の触手に拘束された身体がビクン!とおおきくのけぞり、紫の口紅をひいた唇の端から唾液がツーッと流れでた。それでも意思を喪っていない群青の瞳がキッと下から俺をにらみつけ、荒い息をつきながらも威勢よく啖呵をきる。


「これでしまいか? 勃つなら、うちのこと好きなだけ犯せばええ。けどな、竜宮城から出るんは不可能やで。船がなければここは水牢と同じ。この男湯かて、男が逃げださんよう頑丈につくってあるんや。玉出箱で男の機能を回復させたら、みっちり3年間は人魚族の繁栄のために奉仕してもらうで」


 まだ憎まれ口を叩くことができる気丈な唇に、タコの太い触手を挿入した。ローションと唾液をからめて舌に巻きつき、レギンレイヴの口蓋を吸盤が撫でまわす。イカの触手は下腹部を責めたてる本数をさらに増やして、前後から淫靡な音を岩屋戸のような浴室に響かせていた。上からも下からも触手に身体をいじくられ、さすがの拳王も目つきがあやしく、息も絶え絶えとなってきた。


「あ、あ、あ、んん。うちは、うちは、乙姫、みんなの憧れにならな、あかん」


 ティル・ナ・ノーグの店主ルクレシアから「必ず水で10倍以上に希釈してご使用ください。」と説明を受けたローションを原液で触手に塗りたくっているのだ。ここまで耐え抜いたことこそ賞賛にあたいするだろう。

 俺はタコとイカの足、合計18本を総動員して最後の仕上げにとりかかった。


「あ、なんや、こんな格好。イヤや! んん!!」


 両足を高々と持ちあげられ、トロトロになった花園に白と赤の触手を同時に突きいれられたレギンレイヴが白目をむいてのけぞった。前も後ろも入り乱れて間断なくにゅるにゅるとうごめくさまは現実世界では決してお目にかかれない触手プレイの真骨頂。口も塞がれ、触手に身体を埋めつくされたレギンレイヴが懸命に抵抗するものの、徐々に力を失い、触手に吊りさげられたまま為すがままに揺れ動くだけの肉人形となり果てたころ、俺はようやく彼女を解放した。

 やりすぎ感も漂うが、相手はレベル32の拳闘士である。体力を根こそぎ奪っておかなければ、素手でやりあっても俺に勝ち目はない。我ながら卑怯な手だとおもうが、ここで飼い殺しにされるくらいなら禁じ手だろうがなんだろうが使わせてもらう。こうしている間にもキリヒトたちは新たな作戦で世界の覇権を奪おうと画策しているかもしれないのだから。


「この状態で何を言っても空々そらぞらしく聞こえるかもしれないが、俺は人魚族と敵対する気はない。いまは旅を急ぐ事情があるが、魔王を倒したら必ず竜宮島に立ち寄り、いくばくかの期待には応えると約束する。

 レギンレイヴ、あなたの矜持きょうじを傷つけたことは謝罪する。だから、ここでのことはお互いに無かったことにして、また明日、交渉の仕切り直しをさせてくれないだろうか。俺はここに残ることはできないけれど、人魚族が納得する通商条件は提示できるはずだ」


 身じろぎすらしなかったレギンレイヴの身体がピクリと反応し、次いで、ギュッと握りしめられた拳が、ガツッ!と石床に叩きつけられた。


「……うちはまだ負けてへん。自分が勝ったみたいにほざきなや」


 わずかに上げた顔には口惜しさがにじみ、噛みしめた唇からは血がしたたっている。残されたわずか力を掻きあつめて上半身を持ちあげると、ゆっくりと膝を起こし、両手を支えにしつつ、ふらつく身体を無理やり立たせた。呼気は荒く、しかし目だけはまだ闘志を宿してファイティングポーズをとる。


「うちは拳王レギンレイヴや。欲しいもんは全部、このこぶしで屈服させてきた。この看板は快楽に流されて捨てられるほど軽いもんやないで」


 俺は触手を構え、再び乙姫の肢体を拘束しようとして、やめた。たしかにこの方法ならこの場を逃れることはできるが、レギンレイヴが指摘するとおり、その先が続かない。竜宮島から脱出するすべがないし、第一、俺は青龍から「水の精霊石」を受けとらなければメインストーリーを前に進めることができない。

 青龍が座す水のやしろは遥か海の底。竜宮城の地下通路から行く方法しか俺は知らないし、媚薬の快楽でレギンレイヴを籠絡することができないのであれば詰むしかない。ならば、ここで採るべき方法はひとつだけ。

 俺はおもむろにヒールの呪文を唱えると、レギンレイヴの失われた体力を回復させた。


「なんのつもりや」

「仕切り直しだ。搦め手からでは決着がつきそうにないからな。正面突破する。俺がタイマンで勝ったら、リンカーン王国との和睦に応じてほしい」


 ピロリン♪とレギンレイヴの愛憎度が上昇した。


「媚薬をつかわなければ間違いなく、うちが勝ってたで? もう卑怯な手はつかわんと約束するなら勝負は受けたる。ただし、うちが勝ったら、カガトは3年のあいだ、竜宮島に留まって人魚たちの誘いを断らんことが条件や」

「3年ではなく半年なら」


 群青色の瞳が刺すように厳しさを増す。けれど、俺も絶対の勝利を確信しているわけではない。セシアとの約束を果たすためにも半年が呑める最低ラインであった。

 しばらく睨みあいがつづき、最後はレギンレイヴが折れた。


「まあ、ええわ。うちの勝利は揺るがへんし、半年あれば2桁の子が妊娠するやろ」

「俺も負けるつもりはない。正々堂々と勝ちきって、リンカーン王国と竜宮島との間に対等な条件での通商条約を締結してもらう。そうして和睦が成立した暁には、人間ノーマ人魚マーメイドとしてではなく、ひとりの男と女として、あなたにあらためて問いかけてみたい。俺の嫁にならないか、と」


 レギンレイヴの頬が紅潮する。

 ピロピロリン♪ ピロピロリン♪ と激しく音が鳴った。


「こ、これやから男は恐いねん。嫁とか結婚とか言うとったら女がなびくなんて考えとったら死ぬで。ま、交渉の方便やろうけど、悪い気はせえへんかな」


 照れ隠しなのかこぶしをワンツーで突きだす。

 俺も冗談で口にしたわけではないものの、現役の乙姫を嫁にするハードルの高さはグノスン師匠の例で知っている。ただ、レギンレイヴの見事な肉体美と媚薬にも屈服しない意志の強さは尊敬に値する。触手ではなく今度はこの手であらゆるテクニックを駆使してよがらせたいとおもったのは嘘ではない。7人の嫁のひとりとして迎えいれることができれば、俺のイチャイチャラブラブのハーレムライフがさらに充実することは間違いない。


「うちは弱い男は嫌いや。うちより強い男には会ったことがないけどな」

「なら、俺が最初の男だな」

「言い方がやらしいねん」


 俺は触手をうねうねと動かすと、風呂桶をたぐり寄せ、赤と白の触手を湯で洗い流した。淡いピンク色の媚薬が油膜の光彩を浮きたたせながら石床を滑っていく。


「媚薬は捨てるが、触手は使わせてもらう。素手で拳王に勝てると考えるほど、俺は自分を過信してないんでな」


 レギンレイヴは不敵な笑みを浮かべ、


「好きにしい。不意打ちでなければ、もう捕まったりせえへんよ」


 宣言どおり、レギンレイヴは中腰の姿勢のまま拳をシュッシュッと音が鳴るほどの速度で振るって、俺の再度の触手攻撃をすべて弾き落とした。

 だが、俺も拘束するために触手を振るっているわけではない。称号を「鷹の目」にもどして慎重に距離を探っているのだ。レギンレイヴの素早いジャブが届く範囲、そして渾身のストレートが伸びる距離を触手のリーチを変えながら計算していく。


「遅い!」


 タコの触手をいなして、レギンレイヴの引き締まった右脚が踏みこまれた。空気が破裂音を轟かせるほどの強烈な一撃。だが、イカの触手10本で包みこむようにすることで衝撃を吸収し、俺の頭を打ち抜く前に止めることができた。

 触手の柔らかな感触にレギンレイヴの頬が紅潮し、唇が羞恥に歪む。


「まだ媚薬の効果が残っているようだな」

「関係あらへん。どんな逆境でも勝ち抜くのが乙姫や」


 情けは無用ということか。

 俺はうなずくと、手数による攻撃に神経を集中させた。まだ禁断のローションの残滓がレギンレイヴの肌に貼りつき、テラテラとあやしく輝いている。引き締まった裸身が右に左にこまかく動き、拳を、手刀を、掌底を突きだして必死に触手に抗おうとしている。

 汗で目じりのアイシャドウがにじみ、逆巻くエメラルドの髪が乱れても、誇りを捨てない乙姫の闘志は美しい。俺は触手による五月雨さみだれ攻撃を途切れさせることなく、ゆっくりとレギンレイヴに近づいていった。いくらジャブで触手が打ち払われようと数にものをいわせてペチペチと鞭のような寸打を刻み、わずかずつでも体力を削っていく。


「やはり無理をしているようだな。日を改めて再戦ということでも俺はいっこうに構わないのだが」

「乙姫に二言はあらへん。油断してたら痛み目見るで!」


 レギンレイヴの眼が光った。俺が右ストレートの届く距離に踏みこんだからだ。

 タイムラグなく右の拳が飛んでくる。間近に迫ると、手が巨大化したような錯覚に陥るほどの威圧感。これが決まれば俺の体力は根こそぎ刈りとられるだろう。

 だが、狙っていたのは俺も同じだ。ぴったりと相手の右腕にそわせたタコの触手を8本まとめて絞りあげる。


「なんや!?」


 拳の勢いを殺すのではなく、その勢いのまま軌道だけを逸らせるように調整する。そして、イカの触手でレギンレイヴの胴体を巻きこんで俺の腰骨に乗せるように引きこむと、そのまま胴をひねって柔道の背負い投げの要領で乙姫の体躯を石床に叩きつけた。


「――ガハッ!!」


 背中から硬い床に落ちたレギンレイヴが衝撃と痛みで声を失う。支えに残した触手をつかって俺が助け起こそうとするのをパシンとはたいて、ふらふらと立ちあがった。


「なかなか面白い技を見せてくれるやないか」

「本調子なら、一足早く頭を撃ち抜かれて終わっていただろうがな」

「言い訳はせえへん。力勝負を仕掛けたのはうちのほうやからな」


 媚薬の効果で技のキレも重さも失われている。けれど、乙姫の目はまだ死んではいない。


「もううちの気力も限界や。ここらでしまいにしよう。勝っても負けても恨みっこなしやで。

 我、青龍の巫女の血脈たる乙姫レギンレイヴ・マンタレイは――」


 両腕の筋肉が目に見えて盛りあがり、拳に再び貝殻が幾層にも積み重ねられていく。深い呼吸を繰りかえし、精神統一をはかるレギンレイヴ。闘気のオーラが美しい裸身を包みこむように膨れあがっていく。


「拳王の一撃は百万の敵をも粉砕する。そんな触手が何本あろうと紙屑同然や。天より降りそそぐ隕石のごとき豪拳を受けてみよ。必殺! 金剛流星雨!!」


 限界まで引き絞られた筋肉の弓が解き放たれ、貝殻をまとった左右の拳がレギンレイヴの胸の前で火花が星と散るほどに激しく撃ち合わせられた。

 ――ガキンッ!!

 破裂音と共に拳の貝殻が砕け散り、無数の欠片が衝撃波をともなって四方に飛び散った。俺の両手の触手も被弾し、瞬時にはじけとぶ。だが、幸運にも触手の柔らかさがクッションとなって弾道が逸れた結果、頭や首、臓器など致命的な箇所への直撃だけは避けることができた。

 四肢の痛みに歯を食いしばり、正面を向くと、血だらけのレギンレイヴが拳を振りあげている。避ける間もなく、俺の右頬にストレートが打ちこまれた。

 一瞬、視界がブラックアウトする。だが、媚薬によって攻撃力が半減していたおかげで、どうにか踏みとどまることができた。のけぞった身体を巻き戻すようにクロスカウンターをレギンレイヴのシックスパックに叩きこむ。


「……ブハッ!」


 沈みゆく乙姫の裸身を抱きとめる。彼女の全身には俺以上の裂傷があちこちに刻まれ、じくじくと絶え間なく血が流れだしていた。


「捨て身の攻撃なんてリーダーがとる戦法じゃないな」

「……普段はもうちょい弾道をコントロールできるんやけどな、こんだけ身体をいじくられると、やっぱり調子が出んな」


 俺が「ヒール」を重ねがけして止血すると、シュッと拳が目の前に飛んでくる。顔面直撃コースだったが、寸止めでコツンと額に当てられた。


「勝負は最後まで気を抜かんことや」

「目の前で惚れた女が血を流していたら、放っておけないだろ」

「……あんた、やっぱり良い男やなあ。運もええし。さっきのも当たり所が良ければ、うちの勝ちやったのになあ」


 サバサバした表情で嘆息し、ふと、真剣な表情で俺を見つめる。


「負けを認めるから、このままうちを抱いてくれへんか? 玉出箱の準備には時間がかかるから、勃たんのやったら抱きしめてくれるだけでええ」

「媚薬の効果か」

「ちゃう。本気のうちとやりあって、ここまでこてんぱんにされたのはカガトで2人目や。ブリュンヒルデ姉さま以外にうちはまだ負けたことないからな。男ではカガトが初めてやで」


 レギンレイヴが屈託のない笑顔をみせた。

 俺は乙姫の裸身を抱きしめると、


「俺の嫁になることを真剣に考えてくれないか」


 みるみる赤面したレギンレイヴが乙女の表情で視線を逸らせた。戦闘を終えた身体は熱く、密着した肌が汗ばんでいく。

 長い時間が経って、レギンレイヴは視線をもどして俺を正面から見据えた。


「あかんな。やっぱり、それは受けられへん。

 うちはこの竜宮島の乙姫として、人魚族のはんにならなあかん。好きな男に捧げるには重すぎる身上しんじょうやで」


 寂しげにほほ笑む胸のうちには、先代乙姫ブリュンヒルデの姿がよぎっているのかもしれない。人魚たちの憧れの対象である乙姫が2代も続けて男のもとに走れば竜宮島の士気も失墜しかねない。


「そうか。残念だ」

「でもな、こうも考えられるで。うちは嫁にはなれんけど、人魚であるスクルド・グレイホースが嫁なら『男は全員の共有物とする』掟に従って、人魚は全員、カガトを夫として自由に抱くことができる」


 ピロリン♪と愛憎度の鈴が鳴る。

 俺がレギンレイヴの唇を奪うと、媚薬の効果が残っていたのか完全に情欲に火がついた乙姫は貪るように不能インポテンツのままの俺の肉体を蹂躙した。

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