二本のレールがカミソリのように光る。
二本のレールがカミソリのように光る。
その内の一本のレールに右耳を下にして頭をのせた。そこから見える枕木をあきるまで数えてみる。雲一つない空の青さに心をもっていかれると言うよりか、飽きたのだ。気が遠くなるように、このままこの世界から消えてみたいと思いを巡らせてみるも、廃線となったこのレール上に列車は来ない。
『死んだら、どうなるのかな?』って、聞かれて、あの時ランドセルを背負っていた俺は、どう答えればよかったのか。この歳になっても、正解なんてないし、歳を重ねたからといってこの問いが、解けるわけでもない。その答えには、近づいているのは確かだが。
あの時私に質問した裕樹という男の子は、無邪気にもその答えを探しにいってしまった。『なぁ、死んだらどうなった?』って裕樹に何度尋ねただろうか。返って来ない問いに、また懲りもせず俺は、尋ねていた。
太陽が眩しくて、まぶたを閉じても皆既日食の様に太陽の残像が暗闇に浮いている。眼球を動かす毎に、光は弱まっていく。昔もよくこんな事してたなって、懐かしく思う。
藤原智美著『運転士』より、最初の一行目のみ拝借
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