第9話 火精霊と契約しました

時間はちょっとさかのぼります。


ターシャがウチに来てくれる事になり、ターシャが弟子のゼルくんに工房を引き継いで、工房を出る少し前の事・・・・・・


「ターシャ、ここ鍛冶屋よね?」


「リル嬢ちゃん、見りゃ分かるだろう?」


「なら、火はまだ有るわよね?」

あたしは当たり前の事なのだが聞いてみる。


「火無しでどうやって剣を打つのかい?」

ターシャは当たり前の事を聞かれた為、少々呆れ顔になっていた。


「なら・・・・・・レフィー、ウィンネ」


『ほぅ、あやつを喚び出すのかぇ』


『サラーニェさんでしたよね?』


「そうよ、サラを喚び出して改めて契約するわよ」


「リル嬢ちゃん、そのサラなんたらとか言うのは何の事だい?」


「サラーニェよ。サラーニェは火の精霊のお姫様よ?」


『ぽえぽえ~って天然入っているけどいい子よ?』

あたしとレフィーナはウィンネに水を向ける。


『そこで、ふたりして何故疑問形なのじゃ。というか妾に振るでないわ』



「確かにいい子ですので、ターシャそんなに構えなくても・・・」


「火の精霊様と言えば、あたしら鍛冶職人にとっては神様の様な存在だ。そんな方と契約するのかい?」

あたしが火の精霊と契約すると言ったので、ターシャは驚きのあまり、身構えた感じになる。


「そうよ。召喚や契約の儀式自体は大した事無いから大丈夫よ」


『大した事は無いというが、主様じゃからであって、普通はもっと大仰で時間の掛かる儀式が必要なのだがのぅ・・・』

と、ウィンネは苦笑する。


「じゃあいくわよ」

リルはそう言うと、サラーニェの名を強く念じた・・・・・・そうすると、鍛冶場が一瞬まばゆく光り、その後には、全身が赤いというよりは、紅色をした女性が、その場にへたり込んで座っていた。


『んにゃ、ここはどこですかぁ?・・・・・・・・・・・・ぽえぽえ~レフィーナちゃんとウィンネちゃんが居るですよ。お久しぶりなのですよ~』


そう言うと、サラーニェはレフィーナやウィンネに近寄って喜んだ。

『相変わらずですねぇ』


『そうじゃな。ところで主様よ、サラーニェと契約せぬのか?』


『?誰かほかに居るですか?・・・!!んにゃんにゃ♪リル様じゃないですかぁ』

サラーニェはリルを見つけると、カバっと抱き付いてキスをする。


『リル様だ、リル様だ。にゅうにゅう♪ちなみに契約完了ですぅ?』


「この子は・・・とにかく、改めてよろしくねサラーニェ」


『リル様、よろしくお願いしますですぅ』

(天然系駄精霊がパーティーに加わりました。ってところかなぁ・・・)



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