第6話 商人と取引きしました1
あたしが番頭の名前を呼ぶと、奥から身長160位で恰幅の良い男性が出て来た。
「(クレーマーかな?この忙しい時に)はいただいま、お客様いかがなさいまし・・・・リルーエットお嬢様お久しぶりでございます。父君はご壮健でしょうか?」
(そうか、父ちゃんが死んだの知らないんだよな)
「いえ、父様は先日病で亡くなってしまって・・」
「あっ!これは申し訳ありません。心中お察し致します」
「仕方ないわ、人間いつかは死ぬのだもの。それより買い取りして頂きたい物が有るのですけど、これを見て下さる?」
そうして、あたしは番頭さんに白金貨を渡す。
「!!これは白金貨ではありませんか、どこでこれを?」
「屋敷を探したら偶然三枚見つけたのよ」
「!!三枚も?・・・確かにリルーエットお嬢様のリネルメ家はあんな領地で有りますが、この王国きっての宿将、我が商会の創業時からのお付き合いさせて頂いているくらい古いので、一枚くらいなら有ってもおかしくありませんが・・・・三枚ですか・・・ちなみに、ほかの二枚は?」
「一枚は王室に覚えを良くするための献上用で、もう一枚はペンダントにしてわたし自身で身に付けますわ。ちなみに、アクセサリー等を手掛けている工房をご存知でしたら、よろしければ教えて頂きたいのですけど」
「承知致しました。工房に関しましては、私めがご案内させて頂きます。それより・・・」
「あら、ごめんなさい、白金貨の買い取りの方が先でしたわね。それでは単刀直入に金額を提示させて頂きますと、金貨90枚でどうでしょうか?」
「90枚?ホントにその値でよろしいですか?正直な所、もっと吹っ掛けられるかと思いましたわ。好事家から見ればその何倍のお金を出してでも欲しい物ですわ。まぁ、おそらくまとまったお金をすぐに欲しいのだろうという事はわかりますし、今後もご贔屓にして頂ける言う意味合いも有ると思っていますが、正直安過ぎますわ。そんな値ぇでは買い取りできません。金貨百枚で買わせて頂きます。それでよろしいですか?」
番頭はあまりの値に驚き、まくし立てる様にしゃべる。
「あら、かまわないのに。確かに、即金でお金が要り用な事と、これからも良い取り引き相手としてお付き合いさせて頂きたい。というのは有りますが、これから行う領地の開発に一枚噛んで頂きたい事と、その際ずいぶんご迷惑をお掛けすると思いますので、そのお詫びも兼ねています」
「・・・ほんまですか?・・・・・奥の方が空いておりますので、そちらでお話しを伺ってよろしいですか?」
(番頭さんはこっちが地なのかな?感じとしては大阪弁ね。まぁ内容が内容だから仕方ないかな?とにかく、あたし自身には伝も何にも無い。あるのは辺境伯という名だけ。それも、これから爵位継承の手続きが終わってから。だから、なにがなんでもこの商会をこちらに引き込まないと。それには、こちらは誠意を見せるだけ。番頭さんは味方に出来そうだけど、まだ小さなハードルを越えただけ、油断は出来ないわ)
「ええ、かまいませんわ」
あたしは、番頭に案内されるがままに奥へ行き、そこで計画の一部を話す。
「はぁ、リル様には敵いませんわ。そんな事誰も考え付きませんわ。無いなら作ればいいとか、本来そんな次元ではありませんが、リル様には精霊様が付いてらっしゃる。それならば、絵空事ではありまへんなぁ。わかました、ドンカッター商会番頭のこのドルトン、一肌脱がせて頂きますわ。正直、こんな話し飛び付かんヤツは商人やありまへん。上の方にはわてから上手く言っときますわ」
「それではリル様、またのお越しをお待ちしております」
番頭のドルトンは、手を振って見送ってくれる。
(上々、上々、とにかく、手元には金貨40枚。「ええお嬢さんがあまり大金を持ち歩いたらあきまへん。その代わりこっちを渡しておきます。あぁ、少し多いのはわてからの辺境伯継承祝いですわ」とか言って、金貨金貨90枚分の為替[一枚当たり金貨十枚]を貰ったわねぇ。あとは・・・鍛冶屋かぁ。昔を思い出すなぁ。あたしもリルの記憶もおんなじ様な感じだもん。ひょっとしたら、あたしとリルは出逢うべくして出逢ったのかなぁ。運命を感じる・・・・・な~んてね♪さぁ次よ次)
あたしは、ドルトンに教えて貰った鍛冶屋に向かった。
ちなみに、白金貨のアクセサリーの方はと言うと。ドルトンが「わて、ええ細工師知っとります。お代は結構ですから、白金貨を預からせて頂きまへんか?」と言って来たので、丸投げする事にした。
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