第5話 王都到着~~~~白金貨を売る事にしました
ようやく王都に到着する。
王都に入る場合には入市税が掛かる。
あたしは貴族の娘という事で大銅貨一枚、セバスチャンたちは銅貨一枚
、合計大銅貨四枚に銅貨二枚の入市税を納める事になる。
ちなみに、入市税の用途は、城壁の補修がほとんどで、後は城内の整備に使われる。
入城したあとは拠点探しだ
本来、普通の貴族なら城内に自分の公邸があるものなのだが、当然あたしのような貧乏辺境伯にはそんな物は無い。
なので、宿屋が当面の拠点となるから探さないといけない。
それには、セバスチャンが探して来てくれるらしいので、あたしたちは広場の片隅で休憩する事にする。
しばらくするとセバスチャンが戻って来て、宿屋の方に案内して貰う。
到着した宿屋は【宵闇の盃亭】と書かれた看板が掛かっていた。
(何とも飲んべえ共が集まりそうな名前ねぇ)
「お嬢様こちらにございます」
セバスチャンに宿のカウンターに案内される。
「ようこそ、当宿へ。それでは、お話しの方は執事殿より伺っております。当宿へは、三日間の宿泊で、後はその都度更新宿泊代のお支払いでよろしいですか?」
「それでかまわないわ」
「わかりました。それでは、三日間の宿泊代は銀貨一枚大銅貨二枚に銅貨六枚を頂戴致します」
「はい、銀貨二枚でいいかしら?お釣りは全て銅貨でもらいたいのだけど大丈夫かしら?多少重くなってもかまわないわ」
「承知致しました。それではお釣りの銅貨78枚です。あと、お部屋ですが、鍵に付いている札に三桁数字がございますが、一番左の数字が何階かという事でありまして、あとの二桁は部屋番号になります。ちなみに例に致しますと、只今お貴族様がお持ちしてらっしゃる鍵には[308]とあります。これは三階の8号室という事になります」
「だいたいわかったわ。あと食事の事だけど・・・・」
「お食事のお時間は、夕食は夕方鐘の音がなりましてから半刻後、朝食は朝一番の鐘が鳴りましてから半刻後になります。あと小銅貨二枚でこれ以外の時間に軽食をご用意する事もできます」
「わかったわ。またわからない事が有ったらその時に聞くわ」
「承知致しました。それではごゆるりとお過ごしくださいませ」
「セバスチャン、はいお金、この中から兵士には一人当たり銅貨二枚、あなたたち二人は銅貨五枚、特別手当てとして貰っておいてちょうだい。あと食事の時間はちゃんと教えておいてちょうだい」
「ありがとうございますお嬢様。それでは皆に分けて参りますが、お嬢様はこれからいかがなさいますか?」
「わたし?わたしはレフィーナと一緒に、時間まで城内の散策をするわ」
「護衛の方はいかがなさいますか?」
『セバスチャン、私が居るから大丈夫よ。不貞な輩なんかにリル様には指一本触れさせないわ。それよりセバスチャン、貴方は人間なんだから旅の疲れでも癒しなさいな。貴方が倒れたらリル様が悲しまれるわ』
「フォフォフォ。レフィーナ様お気遣いありがとうございます。でもまだまだ若い者には負けませんぞ」
『とにかく、私はリル様と出るから後をよろしく』
「承知致しました。お嬢様、レフィーナ様お気をつけていってらっしゃいませ」
セバスチャンは深々と頭を下げて、リルたちを見送る。
市場にやって来た。
ここは、王都の台所と言って差し支えない位に、賑やかで所狭しと露店が並び、買い物客でごった返していた。
その一角に有る商店街。
簡素な作りの市場の露店と違って、しっかりとした店構えの店が建ち並ぶ。
その一つ【ドンカッター商会】にやって来た。
セバスチャン談に拠れば、父ちゃんのずっと前の頃からの付き合いらしい。
何をしに来たかと言うと、領地の公邸から引っ張り出してきた、美術品という名の不用品は二束三文でも、売れれはそれなりの金額になる。
セバスチャンの見立てでは、大金貨一枚以上にはなるだろうと言う事です。
「すいません」
「はいはい、何でございましょうかお客さま」
「ええ、こちらでは品物の買い取りもやっていると伺っていますが」
「はい、そうでございますが、本日はどのような物を売って頂けるのでしょうか?」
「これです」
そう言って、懐から白金貨を一枚取り出して見せると、店員は疑り深い目でこちらを見て、
「金貨を買い取れと?所詮お子様という事ですか。ここは子供の遊び場ではありませんのでお帰りください」
(リルの記憶には、小さい頃父ちゃんに連れられて来た覚えが有るけど、その頃は白金貨を知らない店員は居なかったのにねぇ。ずいぶんと店員の質が落ちたものだな。仕方ない、番頭さんを呼びますかねぇ)
そう思って、あたしは番頭さんの名前を呼んだ。
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