第6話 ─蝶─

「久しぶり、后」

「お兄ちゃん、おひさー!」

「ひさしぶりー!」

「おー」

「お兄ちゃん、衣装見た?見た??」

「見た???」

「うん、見た見た。

 ──昨日連絡したっけ?闇世界の」

「うん、聞いたよ。

 后の側近さんと守護さんだよね?」

「そーそー」

「顔は覚えたよー!

 お兄ちゃん今から着替えてもらうから

 蛍の間─蝶の間の隣─で待っててねー」

「こーちゃん、思いっきりタメ口…」

「だってこの人達も后の守護でしょー?

 じゃあ舞琴達と地位は変わらないじゃん?」

「そうだけどさー…」

「良いですよ、全然」

言は人好きのする笑顔で答える

「すみません…」

「いえいえ」

晴明もニッコニコで答えた。

「ここだよー!蛍の間!」

「わかりました」

「んじゃー后、待ってるなー」

「おー」


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「后、」

「ちょっと待って────“解放”」


短く唱えると后の飴色の髪が腰辺りまで伸び

右上腕部が輝き始めた。


「着替えてくるな」

「うん」


后は衝立の向こうまで行って手早く着替え始めた。

同時に、三姉妹も会合用の衣服に着替える。


「もういいかー?」

「ん、いいよー!」

「はーい……3人も、新しい衣装なんだ」

「うん!10年も保った当主は初代とお兄ちゃ

 んだけだから、衣装が変わるのは珍しい事

 なんだけどねー」

「え、舞音、そうなの!?舞琴知らなかった」

「舞琴が馬鹿なんじゃねーの」

「違うもん。暴言反対」

ぷく、と頬を膨らませて主張する。

「はいはい、良いから」

舞苺がパンパン、と手を叩いて止める。

「髪、結うよ」

「おー、ありがと」

「もっと女の子らしく話したらー?」

「あ、こーちゃん、それ地雷」

「…うるさい」


“力”を解放すると、

外見の性別が変わる場合がある。

桜月はオモテ全てを支配する“頂点”である為、

当主の暗殺や襲撃などは、当主が変わってすぐは特によくある事だ。

なので、当主な性別を錯乱させるために性別が変化する者としない者が居て、后は前者だった。


「……はい、おっけー」

「わー、美人さんだねー」

「……礼は言わないぞ」

「ほら…こーちゃん!お兄ちゃん不機嫌にさ

 せないでよ、後々大変なんだよ?」

「…別に御簾越しだしいいじゃん」

「ほら、もう…舞琴!」

「はーい…ごめんなさい」

「お兄ちゃん、御簾越しでも隠せないよ?」

「…………………」


毎度こうなので、

后は「今回こそはいうこと聞かねー」と誓っているがそうもいかない。


「わーったよ、隠せばいいんだろ」

「そーゆーこと」

「舞琴、偉そうにしない」

「元はと言えばこーちゃんのせいだからね」

「はーい」

「んじゃー、皆呼んでくる」

「うん、待ってるねー」


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


コンコン、と木の戸を叩く軽い音が響く。

「はーい」

「オレでーす」

開けながら自分だと伝える。

「……后?」

「いや、確かに我が皇子だけどさ…」

「これは……」

「兄さん…ううん、姉さん!!

 どうする?結婚式は明日?

 さすがに明日かな、もう夜だしね!」

「オレだよ、ちゃんと。それと言、

 結婚はちょっと躊躇うなぁ、兄弟だし。

 あと、姉さんじゃなくて兄さん、な」

「兄弟だから…では后様、」

「側近も駄目な」

「言殿と晴明様止めるスキル上がったなー」

「そりゃどーも…

 ──それより、会合。

 もうすぐ鐘が鳴るから、来て」

「甘雨を流すスキルも、上がったね。

 ──わかった」


そのまま蝶の間に向かい、三姉妹と合流し

会合が行われる胡蝶の間に入る。

勿論后は言葉─音を発する事さえ許されないだけでなく顔を見られる事も許されないので

顔を覆う淡い色のベールを被り、扇で顔を隠して入場する。


「…今回は、側近衆が多くないか?」

「……羨ましいの。お美しい癒舞様のお側に寄れて、ご尊顔を拝見すらできるという」

((…黙れ、顔見た事無い癖に))

最初に口を開いたのは、分家の中でも7番目に血筋の近い家の者だった。

近いほうなので周りより発言内容は偉そうだが、舞苺達を恐れているのか声がほぼ聞こえないほど小さい。

((あーもう!イライラするなぁ…))

「癒舞様」

無意識だが不愉快が顔に出ていたのか、舞音がそっと耳打ちする。

が、后には自慢と媚が耐えられなかったので

舞琴にこそっと黙らせるよう伝えた。

舞琴は小さく頷くと、扇を開き

開いた扇を勢い良く閉じた。「パチンっ」と

大きな音が響き、それだけで場が静まる。


一同は御簾の降りた上座に座った。

中央に后。后の右に舞琴、左に舞音。

言や晴明、華、甘雨は、3人の後ろ。

舞苺だけは、御簾の右に座している。

いつも会合の際はこの位置で、

舞苺が会合を仕切り舞琴が后の発言等を発し

舞音は后の護衛をしたり先程のように注意をしたりとそれぞれの役をこなしている。

1通り座り終え、全員が御簾─后の方を向く。

同時に、舞苺が会合の開始を宣言した。

終えると、月神、神代──と血筋の近い順にその月にあった事などを発するのだが

今回は─否、今回も、神代は欠席していた。

((白にバレないのは、良かった…))





そうして、無事に会合は終わった。








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◎リア友から三姉妹の詳細を聞かれたので…


\月神三姉妹当主のプロフィール/


◎そんなに細かく決めてないから荒い

→それを踏まえて続きへどうぞ!


長女→月 舞苺まい ··· 18歳

   后のお姉ちゃん的存在。

   三姉妹で唯一大人しく物静か。

次女→月 舞琴まこ ··· 16歳

   明朗なムードメーカー的存在

   三姉妹で1番にぎやか(うるさい)。

三女→月 舞音まお ··· 16歳

   ワガママ末っ子だが、

   舞琴がうるさいのでしっかりしている


〇舞琴と舞音は双子。


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とりあえず決まってるのはこれぐらいです!

ありがとうございました(*..)


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