第2話 ─BLOODMOON─

「明日……いや、明後日か……?」

修行終わり、言と晴明は闇世界に行っていて

帰り道甘雨と2人は久々だった。

「どうしたー?」

「んー、ちょっとなー」




((オレが桜月おうげつの当主って知ったらみんな驚くよなぁ…))


桜月。白が総裁を務める神代家の本家に当たる桜家が取り仕切るグループである。

母である比紗はその桜家の直系で前当主。

つまりその比紗の子である后ももちろん直系だ。

普通、兄弟姉妹がいたりした場合は誰が当主を務めるのかと、とてつもない後継者争いが勃発するのだが、比紗の代と后の代は直系である人間がそれぞれ1人しかいないので、その様な事は無かった。

後継者争いをしたところで当主を選ぶのは月の神であり、桜月兎おうげっと─当主である事を示す印─が現れた者が務めることになるので争いの無駄なのだが。

そして后は10年前、6歳の時にこの桜月兎が現れ、桜月63代目当主─桜 癒舞となった。


この事を知っているのは

前当主─桜 癒羽である比紗

当主では無いが3代前の桜家の長女である祖母

そして、桜家に1番血筋の近い月家取り仕切る、月神グループの三姉妹当主のみである。




「何かあったらすぐ言えよー?」

「んー、ありがと」


──ピリリリリ……


突然、携帯が鳴った。

舞苺まい─月神三姉妹当主の長女からだ。

きっと総会─満月の日に毎回行われる会合─が恐らく明日か明後日なので、その話だと思うと気が引けて

「うげー…」

思わず呻いてしまった。

「電話……だよな?どうした?」

突然呻き声を上げたものだから、

甘雨がかなり戸惑ってしまった。

後でかけ直そうと携帯をしまうと、

「誰から?出ねぇの?」

と甘雨が心配そうに聞いてくれた。

「ちょっと親戚から…大丈夫」

「ふぅん…」

答えたら、何か察してくれたようで

甘雨はそれ以上何も聞いてこなかった。

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