桜の下、月に愛されし。

紫姫

第1話 ─月─

「明日……いや、明後日か……?」

后の修行終わり、

晴明様と言殿は闇世界に行っていて

后と2人で久々に帰ることになった。

「どうしたー?」

「んー、ちょっとなー」

「何かあったらすぐ言えよー?」

「んー、ありがと」


──今日…先程から后は何かおかしい。


今日の修行は夕飯の後で、

終わってから晴明様達が闇世界に行くまでは

いつも通りのへろへろだったのが、

突然疲れた様子もなくなり

「今日は歩いて帰りたい」と言い出した。

いつもは「早く帰って風呂入って寝たい」とかで一所懸命瞬間移動をしている后が。


かと思えば、内容は聞き取れなかったが

月を眺めて何か呟いていた。

やっぱり、何かがおかしい────


──ピリリリリ……

突然、后の携帯が鳴った。

「うげー…」

「電話……だよな?どうした?」

突然呻き声を上げる后に若干─否、

かなり戸惑ってしまう。

「誰から?出ねぇの?」

「ちょっと親戚から…大丈夫」

「ふぅん…」

親戚からなら出た方がいいんじゃないかとも

思ったけど、何かこれ以上は踏み込むのはいけない感じがしたから、何も言わなかった。

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