つぼみ

遠く果てなく続く

地平線の彼方

流れていく空に

どこまでも行けるような気がした

そっと包んだ

小さな蕾は

咲くその時を

静かに待つ



波間に揺れる

海の向こう

陽射しは注ぎ

夏の匂いがした


熱くなった

道を歩きながら

昨日と明日の

違いを探した



遠く果てなく続く

長い長い線路

その先にあるのは

まだ誰も知らない世界なのかな?

枕木にそっと

揺れる蕾は

暖かな風を

静かに待つ



光の中に見えた

あの時の面影

幼かった日々の空

変わらないまま


約束の言葉

そっと指を離した

風に乗り消えた

たった一つの笑顔



遠く果てなく続く

明日への旅路

季節は巡り

新しい風をこの場所へ運んでくれる

ふと見上げた

星空の下で

一つの蕾は

あの時のまま



夕焼けに伸びる長い影

暮れていく空

夏の終わりに気付く

また次の季節まで



遠く果てなく続く

地平線の彼方

流れていく空に

どこまでも行けるような気がした

そっと包んだ

小さな蕾は

咲くその時を

今も待つ



終わりなく繰り返す

季節の儚さに

思い出が溢れて

懐かしい日の姿を追いかけた

あの日歩いた

線路の片隅に

揺れていた蕾は

未来を映し出すように


小さな花を咲かせていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩集《足跡》 ハックルベリー @hacckl

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ