第6話

プリントの上にはナイトキャンドルと書かれていて

そのすぐ下には走り書きでぐちゃぐちゃになった文章やキーワードらしきものが綴られていた。


他のプリントも同様で、どれもBLACK LILYのヒット曲のタイトルだった。

そのプリントの間に何枚か便箋も混じっていた。


「ブラリリは曲もいいけど、歌詞が心に響いてきます。

Rさんもブラリリのメンバーです!ずっと応援しています!

中傷なんて気にしないでください!Rさんがいなければブラリリは完成しません」


「新曲すごくよかったです。ブラリリでは珍しい恋愛ソングでしたね。

Rさんの細かい表現がとても好きです。これからも楽しみにしています。」


どうやらファンレターのようだ。

Rという人物は僕も知っている。

BLACK LILYの作詞はメンバーではないRがほとんど書いているから

歌詞カードのlyricも名前がRと表記されている事が多い。

Rのプロフィールは全く公開されておらず、どんな人間なのかはわからない。しかしメンバーも作詞はRに依頼していると公言している為、ファンの間では影のメンバーと認識されている人物だ。


だけど、なんで李緒華がこの手紙を・・・


僕は今までの李緒華の行動や発言を思い出して

すぐさま李緒華がRではないのかと推測した。

と言っても、大きな鍵となるものはこれと言って無い。

李緒華に聞こうにも、荷物を覗かれたことには変わり無いし

いい気分では無いだろう。

以前の僕なら見ないふりをして今まで通り接するのだろう。

だけど、李緒華との唯一の共通の趣味という事と、李緒華のさらなる内側の部分を知りたくて、タイミングを見て聞いてみようと思った。



廊下から数人の話し声が聞こえてきたので、僕は李緒華の荷物をまとめ

足早に保健室に向かった。

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雪が溶けて終わりがきても ユリイカ @yuriica

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