香りを求める罪人
暗くて冷たい監獄の廊下をマリは歩いています。
ある牢の前を通りかかると、小さな声が聞こえました。立ち止まって様子を見ると格子の間から汚れているか細い傷んだ右手がマリの方へ伸びてきました。その指先は細長いムエット(香水の香りを試す紙、試香紙)を持っています。牢の中は真っ暗で、すぐそこにいるはずのその手の主の姿すら全く見えません。
マリがしばらく様子を見ていると「いい匂いを下さい」と、少女の声がしました。ムエットを持つ手は弱々しく震えています。
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