ザラメ載せ蕎麦 

 マリは中学生くらいの女の子とカフェでおしゃべりをしていました。ふと、この女の子の名前を知らないということに気が付き、マリがすこし気まずそうに、おずおずと「えっと、あなたのお名前は、なんだったかしら」と訊くと彼女は「わたしは『ドナドナ』よ」と答えました。


 カフェを出てふたりで歩いていると、何やら人だかりが出来ているのが見えたのでマリたちはそっと近寄って、みんなが何に集まっているのか覗いてみました。どうやらテレビ番組のインタビュー撮影をしているようです。テレビカメラに向かって男の人が、近くの飲食店で注文したあたたかいお蕎麦が入っている器を自慢げに見せています。近くにいた人が「あのお蕎麦に、中双糖ザラメがたくさん入っていたのよ」と羨ましそうに、マリたちに教えてくれました。それはとても幸運なことだといいます。マリは「お蕎麦にザラメが入っていて、おいしいのかしら」と思うと同時に「きっとこれから、ザラメ載せそばが流行るわね」と考えました。

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