影のヒト

 水を反射したようにキラキラしている青い部屋の中でマリはベッドに入って眠っていました。ふと目を覚まして部屋を見渡してみると、壁に人の形の影が映し出されているのを見つけました。けれど部屋にはマリ以外に人はいません。


 「影のヒトだ」とマリ思いました。それは、影としてしか存在しない者です。影のヒトはマリの視線に気が付くと壁に映し出されたマリの影の近くへ来ました。マリは、壁に映った自分の影で、影のヒトに触れようと手を伸ばしました。


 すると影のヒトは、マリの影の手の甲にキスをしました。

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