インド旅行
マリは夜中に突然思い立ってインド行きの列車に乗りました。列車内はふたり掛けの座席が進行方向を向いて並んでいます。空いている席が無かったのでマリは立って乗っていました。しばらく乗っているといつの間にかお昼になっていて、乗客を見るとインド人しかいません。どうやらインドに着いていたようです。列車内には電気が無く、明かりは外から入ってくる光だけなのですこし薄暗いです。
マリがぼんやりしていると突然車内のインド人たちがざわめいて、窓の外に注目し始めました。マリも窓の外に目をやってみると、景色の中に大きな像が見えます。「あれは『太陽の像』と呼ばれていてね。あの像の真上に太陽が来るところを見た人はしあわせになれるんだよ」と近くに座っていたインド人が、インドの言葉がわからないマリに身振り手振りで教えてくれました。マリは乗客といっしょに像の上に太陽が来るところを見ました。「しあわせになれるかしら。」
列車を降りるとワニの背中に模様を描いている人がいました。その人はマリと目が合うと絵筆を置いて、マリの手を引いてインドの街のコンビニへ連れて行きました。お菓子コーナーを見ると、細長いビニールの包みに赤や青や黄色をした液体の入った『お菓子』があります。インドではそのお菓子が有名らしく、マリは食べ方を教えてもらいました。食べ方と言っても、ただビニールを切って飲むだけです。カキ氷のシロップを薄めたような味でした。混ぜて色を作って楽しみながらも飲めそうだなあ、とマリは思いました。
宿泊先に着き、マリは荷物を降ろして一休みした後、夕食の支度をすることにしました。「お米を炊かないと」と、お米が入っている引き出しを開けると、中には男性が一人、身を縮めて入っていました。この人がいてはお米を取り出すことは難しそうです。
マリが「インド人はお料理をする?」と訊くと男は「母はよくやってたよ」と答え、マリにベーコンとハムを一枚ずつくれました。
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