第10話
「いらっしゃいませ」
初めての防具屋だ。
武器屋の厳つい親父と違って、柔和な笑みを浮かべるおばちゃんだ。
防具屋よりもアイテム屋とかのが似合っている感じ。
「何をお探しですか?」
「え~と」
因子覚醒時に得た情報パート1。
防具は頭、胴、腰、腕、脚の五カ所に装備可能。
ついでにアクセサリーは物理的につけられる限り、無限に装備できる。
「初めてなんだけど何がいいですかね?」
「ご予算はいかほどですか?」
「銀貨10枚」
おばちゃん、目が落ちちゃうよ?
という位目を見開いている。
「当店最高装備一式持って行かれますか?」
何というか、ちぐはぐな感じだった。
身体は全身鎧、頭は鉢巻、脚というか足はブーツ。
絶対動きにくい。むしろ今動きにくい。
顔に出ていたのだろう。おばちゃんがちょっといいことを教えてくれた。
「すいませーん、防具屋のおばちゃんに紹介してもらいましたー」
「おう」
うーん、ドワーフ。
ずんぐりムキムキ、どこからどう見てもドワーフですありがとうございます。
ちなみに鍛冶屋です。
「それで? 材料は?」
おばちゃん防具屋最高装備一式を具現化してドサドサ。
「随分金を持っているようだな」
「なけなしのお金なんでボッタくるのは止めて下さいね?」
「するか、そんなモン。で、これをどうして欲しい?」
鍛冶屋の仕事は大きく二つ。
素材から武具を作る、武具を材料としてその形を変える、らしい。
「全部まとめて布装備みたいにって出来ます?」
「この盾と小手、兜は無理だ」
まあ、だいたい想像はついたよ。
っていうか盾がアクセサリー扱いってすごいよな。
さておき。
「兜はバンダナですかねー」
「好きにしろ」
好きにしました。
あっという間に鍛冶が終わるとその場で具現化して持ち帰った。
頭に鉢巻、身体から足に掛けてはリアルの服装、ライダーグローブにスモールシールド。
大丈夫だろうか。周りから変に見られないだろうか?
「ちわー」
「らっしゃい」
初代厳つい親父、まあつまり武器屋だ。
「銀貨1枚、使いやすい武器頼んます」
「……羽振りがいいな」
そんなにわかるかな、キョロキョロと。
うん、ただの服だ。
「銀貨1枚か、なら自動整備スキルのショートソードはどうだ? 折れるまで酷使しなければ実質耐久度∞だ」
ナイフでスライム数撃だったからこの金額の武器でまずはいいだろう。
ショートソードといえば初心者向けの武器としてイメージ出来るし。
一応街を出るまではディスクの状態にしておいた。
さあ、二度目の外出だ。
こんな装備で大丈夫かな? ……大丈夫でしょ!
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