第7話
「H因子覚醒を承ります。これより覚醒作業に入ります」
ネコミミ少女の声に、フラムの舌打ちが重なった。
「サンダ、何でG因子覚醒させなかった?」
「そんなおっかない声出すなよ。お前さんだってわかってんだろ?」
フラムが俺を睨む。
美人の視線っておっかねえよ。
美形に生まれなくてよかった。
きっとこんな目で見られてばっかだろ?
「ま、そういう訳で俺達はここまでだな。じゃあな」
「は? もう行っちゃうのかよ?」
何か明らかに俺を探してましたって感じだったのに。
「ああ、何か鬼強い嬢ちゃんからV因子持ってないニュービーがいるって聞いたからスカウトに来たんだけど、ヒーローのニュービー何て、いらねえから」
いらねえから。
GWに来る前なら幾度となく聞いた言葉だ。
だけど、得意のゲームで言われると、腹立つ。
そりゃGWに来てから俺は今のとこ上手く出来てない。
だけど、それはトライ&エラーの回数が少ないだけだ。
「じゃあな、生き残っていたらまた会おうや」
その言葉の裏には明らかにお前が生き残っていたら、
そんな意味が込められているような気がした。
フラムはもう振り返る事すらなくギルドを後にした。
「進めても?」
アイツらの所為で覚醒作業を止めてすまんね。
俺は内心頭を下げながら、続きを促した。
すると、ネコミミ少女が俺のこめかみに爪を立てた。
甘い夜に、背中に突き立てられるそれではない。
傷口に抉り込むそれだ。
「ぎゃぁぁ!」
なに、なにしてんのこの子。
おえぇぇ、血、噴き出しちゃってるし。
何より、いてぇ……
GWに来てから何度目になるだろう。俺は失神した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます