第19話

わたしは自分の人生を美談に仕立てる気なんて毛頭なくて

たとえば「生きてればいつか良いことあるよ」と言われれば「いやンなわけねーだろ」と思うし、自分がいつかの未来で「若い頃は苦労したけど生きてて良かった」なんて言うかもしれないと思うと反吐が出る

これから先の未来で何が起きたって、わたしは生まれてこなかったほうが良かったし、さっさと死んだほうが自分のためだった。なんで生きてるかって、自分の死が周りの人間の娯楽にしかならないって知ってるからだ

周りからは理解できないって思われてるかも知れないけど、わたしにとっては周りのほうが理解できない。生きてて許されるって思ってるからだろうか

どこかで言ったかも知れないけど、たとえば目の前で死のうとしているひとがいて

わたしはきっとそれを止めないだろう

生きてればどうにかなるよだなんて、そんな無責任なことは言えるわけがない

自分の人生ならとりあえずぜんぶ自分の責任だし生きてるのが悪いんだから仕方ないって思えるけど、さすがに他のひとにそれを背負わせるのはね


今はとりあえず直近一番の心配ごとが消えたのでもうしばらく生きていく気ではあるけれど

でもね、結局のところ度胸がないんです、わたし。それだけ


でも一人くらい、そんなのがいたっていいでしょ

幸せになれなくても、生きてる意味がなくても、それを自覚してても

死ぬ瞬間まで美談になんかならなくても

ただの惰性だけで生きて都合が悪くなればいつでも死ねる、そんな生き物が生きててもいいでしょ

前向きにならなきゃいけないとかいう考えがね、好きになれないんです。わたし

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