第16話

ひとのいのちのはなし。


人生ってだいたい100の幸福と100の不幸で出来ていて、それでようやく釣り合いが取れるのかなと思っているんだけど。

普通のひとが100の幸福と100の不幸を受けるとしたらわたしは人生の序盤で300くらいの不運を受けてしまった気がするので、たとえばこの先ずっと不運に見舞われなくて幸せばっかりだったとしてもとてもじゃないけど取り戻せることはないと思っているのです。

もちろん人生が通り一遍に平均化できるわけはないので、詭弁でしかないのですけれども。そうやって、自分の人生には意味がないんだって理由づけをしなければ生きてはいけなかったので。


まあこんなことを考えているのは今だけで、将来的にはもしかしたら、もしかしたら考えを改めているということもあるのかも知れないけれど。

いまの、心のそこから生きることに意味はないし死ねば救われると思っていることを、いうかは忘れてしまうのかも知れないけれど。

若いころは苦労したねって、でも今は幸せだから大丈夫だねって、苦労も悪いことじゃないよって、思う日がくるのかも知れないけど。


そんな日は出来れば来てほしくないし、来なくていいと思っているし、わたしは人生を恨み続けたまま生きていきたい。

そうじゃなきゃ、今のわたしの恨みつらみはどこにいくの。小さなわたしの絶望はどこにいくの。なかったことにして、殺してしまえって?


そんなことがあったら間違いなく、それはひとつの死なのだろうけれど。

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