第3話初回放送③

『青木さんにスカウトされたときに己己己きなこさんの曲を歌ってたんです』


『青木がほんとにスカウトしてたかはともかく……どの曲?』


『[赤雪ピンク]です。己己己さんの曲はどれも好きですが、その中でも一番のお気に入りです』


『ほんとに? あたしのことヨイショしようとしてるでしょ』


『そんなことはないです。私が声優になったのも己己己さんに憧れているからですから』


『またまた~。だって、さっきからあんた全然あたしに憧れてるように見えないけど? 仏頂面だし』


『それは緊張しているからだと思います。初めてのラジオですし、尊敬する己己己さんとの仕事ですから。小さい頃からずっと己己己さんのラジオ聞いてましたし』


『ふーん……案外可愛いとこあんじゃん。いいよ、お姉さんが業界で生き抜く術をタップリ教えてあげる』


『本当ですか? よかったです』


『表情が固いと思ったらそういうことだったのね。大丈夫、何でもお姉さんに任せな!』


『ありがとうございます。それでは緊張で噛んでしまうかもしれないので代わりに提供クレジットを全部読んでもらっていいです?』


『……おい』


『あと、喉が渇いたので何か飲み物買ってきて下さい』


『おい!』

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