第22話 朦朧
ヒナタが何か言いかけた時に部屋に博士が駆け込んで来た。
「来たぞ! 」
「はい」
「うん」
という二人の返事があり
ブゥオン
という音と共に二人は消える。
クソ! 俺も行かないと……その前に俺、立てるか? 手を床についてなんとか立ち上がる。フラフラだけど行くしかない。探知機を取り出す。点滅はまだ少ない方か。狭い場所じゃないことを祈りながら、赤いボタンを押す。うお! 傷!
ここは中国? 中華街? どこの国か判別できないな。判別する必要はないんだけど。ただ少し狭い。何発打てるか? 後ろにヒナタとレイナがいる。ちょうどいい。
俺は銃を取り出して前に向けて身構える。そして、引き金を引く。
ズギューン
ドゴーーン
ズギューン
ドゴーーン
ズギューン
ドゴーーン
建物ごと吹っ飛ばしてる。また砂埃が舞い上がる。が、今度はヒナタ達を心配する必要はない。後ろにいるから。
また、身構える。敵を引きつけて引き金を引く。
ズギューン
ドゴーーン
ズギューン
ドゴーーン
ズギューン
ドゴーーン
瓦礫の山を作っている。アスファルトも削り取られているが、そんなことより敵だ。まだ砂埃の中に姿が見える。
ズギューン
ドゴーーン
ズギューン
ドゴーーン
ズギューン
ドゴーーン
「樹!後ろ!」
ヒナタの声に振り返り銃を落として刀を抜く。
ガキン
敵の刃物となった腕をなんとか受け止めた。受け止めた敵の腕を刀で弾いて胴体を切りつける。
はあー。危ない。疲労で立ってるのもやっとなのに。どうやら接近戦に切り替えないといけないらしい。
―――
ハアハア
ガキン
敵の攻撃を受け止めた手が震える。限界だ。もう。
弾き返して、敵の腹を切る。
バシュ
ハアハア
なんとかなったのか?
後残り何体だ? 探知機を取り出して見る。
グサッ
「うお!」
背中から何か食い込む感触がして腹を見ると、俺の血に染まった銀色の敵の刃物が俺の腹からつき出ているのが見えた。クソ! 背中から刺された。
バシュ
という音がしてさらに奥に敵の手が入ってきた。うええ! 吐きそうだ。が、次の瞬間スルスルっと刃物は腹の中に消えて行き、背中から出て行く。
ドサッ
振り返り確認する。敵は俺の血を腕につけて倒れている。そばにヒナタがいた。ヒナタが俺の背中を刺している敵を切ってくれたんだろう。
「ありがとう。ヒナタ」
あのままじゃ身動き取れなかった。背後からは危険だ。死なないだけに危険だ。危なかったよ。
「え? あ、うん。ぼ、ぼさっとしてるからやられるのよ! 」
また戸惑ってるなヒナタ。ヤバイ、意識が朦朧としてきた。もう一度探知機を見る。点滅は全てなくなっている。戦闘終了だ。薄れゆく意識の中で探知機の青いボタンを押す。
「樹?」
ヒナタの声がする。
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