第2話 到着

 

 保はスーツケースを押して、荷物置き場から出た。職員たちは、適当にしか仕事しないのか、保には目もくれない。さっさと出ようとすると、すぐ前を同じように歩いていた男が呼び止められた。どうやら、こうやって怪しい人だけ捕まえて、荷物を開けさせるのか?


 自動ドアから出ると、むっとした空気が纏わり付いてきた。暑い。

日本よりは暑くないのかもしれないが、とりあえず、保は注意深く迎えを探した。


 こっちこっち!


 お母さんの従姉妹の美貴は相変わらずだった。彼女の姉の美香と似ていて、あけすけに話す。


 保くん、日本から付き添えなくて、ごめんね!一人で飛行機乗るの、不安だったでしょ!?


 保は、別に。と答えた。

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