第13話 リセット天使
私の国には昔から、定期的に不思議な出来事が起こる。
国が殺伐として窮屈になってくると、リセット天使が現れてくれるのだ。だいたい15年から20年くらいの周期で空から降りてきてくれる。
この国には、普段愛想笑いをして相手の心を伺いながら本音を隠して過ごすわりには、その実相手の本音が気になってもやもやをためてしまう、そんな人が多い。
誰が最初に願ったのか。もっと上位の存在が手を差し伸べたのか。細かいことはわからない。リセット天使がすることは一つ。国の真上で一回ラッパを鳴らすだけだ。不思議なパワーで心の内を、全員、全て、等しく、堂々と曝け出してしまう。
皆の本心がわかるから、余計な齟齬が無くなってわだかまりがなくなる。そうしてリセット天使が帰っていった後は、国中からストレスがきれいさっぱり無くなる。そうやってずっと昔から、この国は幸せを維持してきた。
毎回、色々あって人口が三分の一ほどにまで減ってしまうのだけど、皆がお互い同意の上で潰しあって、結果すっきりできるので、わざわざ疑問視する国民は1人もいない。
正確には、1人も残らない。
【SFショートショート短編集1】考えない葦になる 黒の巣 @kuronosu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます