続、傾国

魔女は塔をぐるぐるくだり

王の部屋を訪れた


あなたの願いは月へと届き

王女は眠りにつきました

それではそれでは

死なない男を

今すぐここに

連れてきて


魔女の言葉に応えるように

王が一歩進み出る


この私こそ その男

貴女が探す男です


王はうっとりした顔で

魔女の前にひざまづく


まぁまぁ

あなたが私の男あの人なのね?

今私と共にいる

この男は違うのね?

それならそれなら

死ぬでしょう

この男は死ぬでしょう

そこまで言うなら

殺してみせて?


王はゆらり立ち上がり

男の首に手をのばす

呆然と立つ小柄な男

なすすべもなくしめられて

おうにくびをしめられて


くびを










さあ

男は死にました

どうか

その瞼を上げて

瞳を見せてくださいな


確かにそうね

あのひと

黒い髪と黒い瞳を

していたかもしれないわ

魔女は帝と再会して

めでたしめでたしというやつね


魔女は王を見つめて言った


人を殺した王様に

民は何を思うでしょう

民は何を言うでしょう

民は何をするでしょう

でも大丈夫

私がいるわ

二人でどこかに行きましょう


魔女は王を見つめて言った


ところで

私の瞳の色は

何に似てると思うかしら?


魔女は王を見つめて言った


黄色い薔薇に似ていると

王は答える







残念だわ

あなたも嘘つきね


魔女は王を見つめて言った








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